ダイエットをする際、糖質を制限するために「炭水化物制限ダイエット」を取り入れてはいませんか?炭水化物であるご飯やパン、パスタ、ラーメン…それらを食事の中でカットしよう!と決意しても、「やっぱり炭水化物をやめられない!」と、制限していた分食べすぎてしまい、リバウンドしてしまう、なんてことも。
そこで、このようなお悩みを抱えた方に知ってほしい栄養学の知識をお届けします。
炭水化物を我慢するのではなく、食べ方を工夫することで太りにくい食生活が実現します。
その鍵を握るのが、「レジスタントスターチ」と呼ばれるものです。
レジスタントスターチは、健康に良いだけでなく腸内環境をケアする栄養素でもあります。
そこで今回は、レジスタントスターチを取り入れた食事や腸活でのおすすめを紹介します。
炭水化物は我慢せずに、上手に取り入れることが大切。健康的な体を「腸」からつくりましょう!
レジスタントスターチとは:食物繊維に似ている?
レジスタントスターチとは、炭水化物である糖質(デンプン)のうち、腸で吸収されずに大腸へと届く栄養素のことです。
正確には、「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないデンプンおよびデンプンの部分分解物の総称」と定義されています。(*1)
これまで、デンプンのほとんどは消化酵素で分解され、小腸で消化・吸収される成分として知られてきました。しかし近年、デンプンの中には小腸で消化・吸収されずに、大腸まで届くものがあることが発見されました。それが「レジスタントスターチ」です。
レジスタントスターチには4つの種類がある
実はひとことでレジスタントスターチといえども、その種類は4つに分けられます。(*2)
レジスタントスターチ1(RS1)
玄米や全粒粉パン、パスタ、豆類など。
・粉砕が不十分なため、物理的に消化酵素が作用できないもの
・全粒穀粉や精製度の低い穀物、パスタなどのデンプン密度の高い食品
・血糖値上昇が緩やかになり、心疾患リスク低減する可能性がある
レジスタントスターチ2(RS2)
(a):まだ熟れきれていないバナナや生じゃがいも
・結晶構造を持ち、調理や糊化されていない生デンプン
・未熟バナナや生じゃがいも
(b)高アミローストウモロコシデンプンや高アミロース米デンプンなどの添加食品
・アミロース含量の高いデンプン
・腸内環境を整える効果や血糖値上昇を抑制する効果、脂質代謝改善効果などの報告あり
レジスタントスターチ3(RS3)
冷やしたご飯やポテトサラダ、コーンフレークなど。
・1度糊化したデンプンを 冷却放置したときに、形成された老化デンプン
・各種老化デンプンや、老化デンプンを含む食品
・小腸での消化や吸収に抵抗性を示す
レジスタントスターチ4(RS4)
加工食品に用いられるデンプンなど。
・酵素的、物理的、化学的な処理を施した加工デンプン
・スナック菓子や パン、冷凍食品などの加工食品
・肥満防止や腸内環境を整える効果、血糖値上昇を抑制する効果がある
レジスタントスターチがもつ健康効果
レジスタントスターチの働きは、食物繊維ととてもよく似ています。具体的には、
・血糖値上昇抑制
・腸内環境の改善
・脂質代謝改善
・満腹感の向上
などなど。
このように、レジスタントスターチは血糖値や脂質代謝、満腹感に作用するため、ダイエットに嬉しい成分です。
また最近では、現代の日本の食生活(食の欧米化、外食中心)によって食物繊維が不足していることが問題になっています。
そこで救世主となるのが、レジスタントスターチ。
レジスタントスターチは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の効果を兼ね備えているのです。
野菜を食べる機会が少ないという方や、普段から自炊は厳しいという人は、ぜひレジスタントスターチを日々の食生活に取り入れてみましょう。
参考:食物繊維は腸活だけでなく長生きの秘訣となる栄養素?【研究結果】
レジスタントスターチと腸活
食物繊維のような働きをもつレジスタントスターチには、もちろん腸をケアする効果も期待できます。
先ほどもいったように、レジスタントスターチは小腸で吸収されずに大腸まで届く成分です。そんなレジスタントスターチが大腸を刺激することで、うんちの回数や量を増やすなどの効果も期待できます。
また、大腸に存在する菌たちがレジスタントスターチをエサにして発酵することで、酪酸やプロピオン酸、酢酸などの「短鎖脂肪酸」を産生します。
例えば、酢酸には腸内の有害な菌の増加を抑える効果があり、酪酸には腸内でホルモンの分泌を介して、エネルギー消費量を増やすといった肥満予防効果があります。そのためレジスタントスターチは健康に欠かせない短鎖脂肪酸の産生に役立ちます。
*
ぜひ、レジスタントスターチを取り入れた腸活にも取り組んでみましょう!
レジスタントスターチを私たちの生活に取り入れる
レジスタントスターチは腸活やダイエットにおすすめの成分であることがわかりましたが、どのようにして私たちの生活に取り入れたらいいの?と思う方もいるはずです。
そこで、手軽にレジスタントスターチを取り入れられる方法を紹介します。
炭水化物を冷やす
一番簡単にレジスタントスターチを取り入れられる方法は、炭水化物を冷やすこと。レジスタントスターチはご飯やうどん、いも類を冷やすことで増えるためです。
炭水化物を冷やす方法で、レジスタントスターチを取り入れるには、以下の例を参考にしてください。
【炭水化物を冷やす食事例】
・ 冷や飯:お寿司、おにぎり
・じゃがいも:加熱後に潰してポテトサラダの材料にする
・オートミール:ヨーグルトと合わせる
・豆類 :ビーンズサラダなど
全粒粉の穀類(玄米・全粒粉など)を選ぶ
レジスタントスターチは、全粒粉、いわゆる精製度の低い穀類にも含まれます。
レジスタントスターチをより多く取り入れたい方は、ぜひ以下の食事例を実践してみてください。
【全粒粉の穀類でレジスタントスターチを摂取する食事例】
・玄米:ご飯を白米から玄米に変える
・全粒粉パン:白いパンではなく、全粒粉が使われている茶色いパンを選ぶ
・パスタ :冷製パスタするとさらにGOOD
まとめ|レジスタントスターチで食べる体づくりをしよう!
レジスタントスターチは、小腸で吸収されずに大腸に届き、腸内細菌のエサとなる成分です。そのため、腸活やダイエットにもぜひ取り入れたいですね!
これまでダイエット=食べない、炭水化物は我慢する…というイメージを持っていた人は、ぜひこのレジスタントスターチを意識した食事方法で、腸と体の内側から健康的な体を目指しましょう!