「短鎖脂肪酸」という言葉をご存じですか?
「脂肪」や「脂質」と聞くと、なんとなく太ってしまうイメージを抱くかと思います。
しかし、「短鎖脂肪酸」は体にとって非常に嬉しい効果を持つことがわかっています。そして、私たちの体の中で短鎖脂肪酸を作り出すためには、腸内細菌が関わってきます。
そこで今回は、短鎖脂肪酸の基本や、短鎖脂肪酸を腸内で増やす食・生活を紹介します。
短鎖脂肪酸:腸内細菌が作り出すもの
短鎖脂肪酸とは、人の大腸内で腸内細菌によって作られる脂肪酸の一種です。代表的なものには、酢酸やプロピオン酸、酪酸などがあります。(*1)
この短鎖脂肪酸は、プレバイオティクス(食物繊維・オリゴ糖)と大腸に生息する腸内細菌が作り出します。炭水化物の中でも特にオリゴ糖や食物繊維などの、腸で消化されにくい難消化性炭水化物を腸内細菌が発酵することで、短鎖脂肪酸が生成されます。
短鎖脂肪酸の働きは?
短鎖脂肪酸は、大腸に住む腸内細菌が作り出す、重要なエネルギー源です。(*1)
酪酸は、抗炎症作用や有害な菌の増殖を抑制するなどの効果を持つことや(*2)、酢酸は腸内でホルモン分泌を介して、エネルギー消費量を増やすことで肥満を予防する効果(*3)をもちます。
また短鎖脂肪酸は、糖質の代謝やインスリンの感受性を正常にする働きもあるため、ダイエットにも意識したい栄養素です。(*4)
他にも、アスリートには嬉しい持久力アップの効果も短鎖脂肪酸がもつことが明らかになっています。(*5)腸内で生成された短鎖脂肪酸は、肝臓で糖質や脂質の代謝を助けるため、筋肉のエネルギーになるのです。
短鎖脂肪酸と食事
短鎖脂肪酸は抗炎症作用や肥満防止、持久力アップなどさまざまな効果が期待できます。ところが、食事から取り入れようとすると、牛乳などの乳製品に含まれるものの、その量はごくわずか。
しかも、摂取した短鎖脂肪酸の多くは、大腸に届く前に吸収されてしまいます。そのため食品からの摂取では、短鎖脂肪酸をなかなか取り入れづらいのが現状です。
そのため短鎖脂肪酸は、大腸に存在する腸内細菌に作り出させることが重要。腸内細菌がエサを食べ、代謝させることで短鎖脂肪酸を作ってもらいましょう。
腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すための食生活
腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すためには、食物繊維が鍵を握ります。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類がありますが、特に「水溶性食物繊維」を腸内細菌が食べることで、短鎖脂肪酸を産生します。
水溶性食物繊維は果物や海藻、こんにゃくなどに含まれています。また、野菜や果物などの食物繊維を豊富に含む食事を摂る人は、腸内の短鎖脂肪酸が増加する傾向にあるという研究結果もあります。(*6)
そして、腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すためには、腸内環境を整えることも大切。短鎖脂肪酸を産み出す細菌が住みやすい腸にするためにも、日頃の生活習慣や食事に気をつけましょう。
こちらもおすすめ:腸活とダイエット??体作りや体重管理におすすめの腸活方法
まとめ
短鎖脂肪酸は「脂肪」という言葉はついているものの、実は体にとって重要な栄養素。短鎖脂肪酸はダイエットや体づくりなど、健康的な生活を送るうえで切り離せないものになっています。
短鎖脂肪酸の健康効果を発揮してもらうためには、「プレバイオティクスを摂り、腸内細菌が産生する」ことがポイントです。腸をいたわり、食事から水溶性食物繊維を取り入れて、腸内細菌たちに短鎖脂肪酸を作ってもらいましょう!