「太る」「体に悪い」といったイメージがあり、摂取量を気にする人が多い油。健康の敵のように思われがちですが、最近では体に良い油と体に悪い油があることが知られるようになってきました。
今回は良い油の代表格として注目される亜麻仁油や、これらを含むオメガ3系脂肪酸について、特徴や効果をご紹介します。
亜麻仁油とは?
亜麻仁油は、亜麻の種子から抽出される油で、さまざまな油のうち、不飽和脂肪酸の「オメガ3系脂肪酸」に分類されます。
オメガ3系脂肪酸は、体に不可欠で食事からとりにくい必須脂肪酸を豊富に含んでいることから、近年「体に良い油」「とるべき油」として注目されています。
油(脂肪酸)は、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸・トランス脂肪酸に分けられます。
このうち、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は摂りすぎると血中総コレステロール濃度やLDL(悪玉)コレステロールを上昇させる、肥満やアレルギーといった体に悪い影響を与える可能性があるため、摂りすぎ注意です。(*1,2)
■脂肪酸(飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸・トランス脂肪酸)の種類
不飽和脂肪酸に該当する油は、健康のために積極的にとりたい油です。特に、亜麻仁油などに含まれるオメガ3系脂肪酸は、DHAやEPA、必須脂肪酸と呼ばれるα-リノレン酸を含み、健康的な体を作る上で良い作用があります。
ただし、必須脂肪酸のα-リノレン酸は体内で生み出すことができません。食品からとる必要があるので、亜麻仁油を積極的に食事にとり入れていきましょう。
亜麻仁油に含まれるオメガ3系脂肪酸の効果
亜麻仁油に含まれるオメガ3系脂肪酸の効果は、大きく6つあります。以下に挙げた効果を期待される方は、亜麻仁油を日々の食事にとり入れてみてはいかがでしょうか。
腸の働きを活発にする
オメガ3系脂肪酸は、腸内細菌によって代謝され、腸内フローラの多様性を高める働きが報告されています(*3)。
一般的に、腸内細菌の多様性が増すと、腸内細菌が生み出す「短鎖脂肪酸」が増え、脂肪の蓄積や食欲を抑えたり、カルシウム、マグネシウム、鉄といった重要な成分の吸収を促進したりといった、腸の働きを活発にします。
中性脂肪を減らす
血液中に中性脂肪が増えると、動脈硬化から心臓の病気のリスクが高まります。オメガ3系脂肪酸は、中性脂肪を下げる可能性があることがわかっています。(*4)
アレルギー症状を抑える
亜麻仁油やエゴマ油に含まれる、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸は、人間の腸内細菌によっても代謝されます。
また、最近の研究では、腸内細菌によるオメガ3脂肪酸の代謝物「αKetoA」がアレルギー性接触皮膚炎や糖尿病を抑制する力があることがわかっています。(*5)
亜麻仁油の1日の摂取目安量は?
油(脂質)は炭水化物、たんぱく質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつであり、適度にとる必要があるものです。亜麻仁油に含まれるオメガ3系脂肪酸の成人の目安量は、下記のとおり。
■オメガ3系脂肪酸の摂取基準量
男性 | 女性 | |||||||||
18~29歳 | 30~49歳 | 50~64歳 | 65~74歳 | 75歳以上 | 18~29歳 | 30~49歳 | 50~64歳 | 65~74歳 | 75歳以上 | |
オメガ3系脂肪酸 | 2g | 2.2g | 2.1g | 1.6g | 1.9g | 2g | 1.8g | |||
妊婦1.6g、授乳婦1.8g |
※農林水産省「脂質による健康影響」(2020年4月27日)
表からオメガ3系脂肪酸の目安量は、1.6~2.2g。これを亜麻仁油で換算すると、だいたい1日に小さじ1杯程度に相当し、これが亜麻仁油の理想の摂取量となります。ただし、他の植物性油や食材(魚など)のバランスを考慮して、1日の摂取量も調整しましょう。
注目成分・オメガ3系脂肪酸を亜麻仁油で上手に取り入れよう
亜麻仁油は、体にとって重要な必須脂肪酸(体内で生成できない脂肪酸)であるオメガ3系脂肪酸を効率良く摂取できる油です。サラダや豆腐にかけたり、スープに加えたりして、普段の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
ただし、良い油とはいえカロリーは高いので、とりすぎは禁物です。1日小さじ1杯の目安を守り、上手に栄養を摂取していきましょう。