秋の味覚の代名詞的存在といえば、柿。日本の秋の訪れを伝える役目を果たしてきた柿は、健康的で若々しい毎日をサポートする栄養素をたっぷり蓄えています。

今回は、柿の栄養素と体にもたらす効果について、詳しく見ていきましょう。

柿ってどんな果物?

柿ってどんな果物?

柿は、元々アジアが原産で、日本でも古くから各地で栽培されてきました。自宅の庭などで栽培する人も多く、秋が近づくとあちこちで美しいオレンジ色の実がこぼれ落ちそうなほどなっているのを見かけませんか。

欧米で食べられているイメージはあまりないかもしれませんが、実はヨーロッパやアメリカでも「kaki」として流通し、デザートや料理の食材として親しまれています。

柿の栄養素と期待できる効果

柿はビタミンCが豊富なほか、タンニンという渋み成分が含まれていることが特徴です。ここからは、柿に含まれる具体的な栄養素と、その効果について見ていきましょう。

ビタミンC

柿の可食部100gあたり、70mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは、皮膚や軟骨のもとになるコラーゲンを作るのに必須の栄養素。抗酸化作用もあり、シミやそばかすに働きかけて、肌の老化を抑制する効果が見込めます。疲労回復効果も高く、体のコンディショニングにも有効です。(*1)

カロテン

柿の可食部100gあたり、0.42mgのカロテンが含まれています。

カロテンは、黄色または赤色の色素で、強い抗酸化作用のある栄養素です。体内の細胞や物質に作用して酸化させる活性酸素の働きを抑え、取り除きます。これにより、老化や動脈硬化の予防、がんの発生を防ぐ効果が期待できます。(*2)

食物繊維

柿の可食部100gあたり、1.6gの食物繊維が含まれています。

食物繊維は、さまざまな疾病の予防につながるにもかかわらず、日本人の摂取量が減少しているといわれる栄養素です。柿に含まれる不溶性食物繊維と水溶性食物繊維という食物繊維は、便のカサを増して排便をスムーズにする、腸内細菌のエサになって体に良い作用をする菌を増やすなどの働きがあります。

参考:食物繊維は腸活だけでなく長生きの秘訣となる栄養素?【研究結果】

カリウム

柿の可食部100gあたり、170mgのカリウムが含まれています。

カリウムは、食塩に含まれるナトリウムの排出を促進し、体内の過剰な水分を排出する利尿作用がある栄養素です。そのため、カリウムを摂取することで、塩分過多による高血圧の予防だけでなく、むくみの改善をサポートしてくれます(*3)

タンニン

タンニンは、柿独特の渋みのもとで、抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。抗酸化物質は、老化や動脈硬化、免疫低下などの抑制につながるといわれています。(*4)

また、ポリフェノールは、腸内で体に有益な働きをする腸内細菌のエサとなり、その増殖を助ける「プレバイオティクス」でもあります。(*5)腸内フローラのバランスを整え、宿主の健康に良い影響を与える乳酸菌やビフィズス菌などの微生物「プロバイオティクス」といっしょにとることで、双方の働きがより効率的に発揮され、下痢や便秘の改善にも期待できるでしょう。

柿は毎日食べてもいい?食べるときの注意点

ここまで、柿に含まれる栄養素とその効果について解説しました。柿が体に良いことがあらためてわかり、「これから、デザートやおやつにたくさん食べよう!」と思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、柿に含まれるタンニンは、大量に食べると消化不良を引き起こし、胃もたれの原因になるので注意が必要です。食べ頃の柿は甘く、とろけるような食感でいくらでも食べられそうですが、一度にたくさん食べるのは避けてください。

栄養たっぷりの柿。食べすぎには気をつけて!

「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿は昔から栄養価の高い果物として親しまれてきました。

渋みを引き出すタンニンにも、抗酸化作用や腸内フローラのバランスを整える作用があります。よって、おなかに負担をかけないよう、成熟したものを少しずつ食べ、柿の栄養素をしっかり摂取しましょう。

引用

*1:ビタミンC、eJIN(厚生労働省)

*2:カロテノイド、e-ヘルスネット(厚生労働省)

*3:カリウム、e-ヘルスネット(厚生労働省)

*4:抗酸化物質、e-ヘルスネット(厚生労働省)

*5:Alves-Santos, A.M., Sugizaki, C.S.A., and Lima, G.C. et al. (2020) Prebiotic effect of dietary polyphenols: A systematic review, J. Funct. Foods, 74, 104149