腸の健康を気遣い、ヨーグルトやキムチをはじめとする「プロバイオティクス」を含む食材を積極的に摂取している方は多いでしょう。一方、近年注目を集めているのが、腸で働き、プロバイオティクスのエサになる「プレバイオティクス」です。

プレバイオティクスとプロバイオティクスについて、近年では両方を同時にとることが腸内環境の改善に有効であるといわれています。そこで、プレバイオティクスの定義や役割、プロバイオティクスと合わせたおすすめの摂り方についてご紹介します。

プレバイオティクスとは?

プレバイオティクスとは?

プレバイオティクスは、腸内で良い働きをする菌のエサとなってそれらを増殖させ、私たち人の体に良い影響を与えて健康を改善する難消化性の食品成分です。(*1)

腸内には、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)、または腸内フローラと呼ばれる、およそ1,000種類、100兆個の細菌が生息しています。また近年、腸内細菌叢を形成する菌が多様であることが重視されるようになりました。

プレバイオティクスは腸内細菌に働きかけて、その増殖や活性化を促すオリゴ糖または食物繊維のことを指します。

プレバイオティクスとプロバイオティクスの関係性

プレバイオティクスとプロバイオティクスの関係性

プレバイオティクスと、よく似た言葉であるプロバイオティクスには、密接な関係があります。それぞれの働きと関係性を見ていきましょう。

プロバイオティクスの定義

世界保健機関(WHO)および国連食糧農業機関(FAO)のガイドラインでは、プロバイオティクスを「適切な量を摂取した際に宿主の健康に有益な効果をもたらす生きた微生物」と定義しています。

代表的なものには乳酸菌とビフィズス菌があり、ヨーグルトやぬか漬け、キムチなどから摂取することができます。

参考:プロバイオティクスとは?期待できる効果と、摂り方のポイントを紹介

プレバイオティクスの定義

プレバイオティクスは前述のとおり、「特定の菌のエサになって宿主の体に良い影響を与える食品成分」のこと。代表的なものには、難消化性のオリゴ糖や、食物繊維が該当します。

これらプレバイオティクスは、特定の有益な細菌であるプロバイオティクスのエサとなり、腸内細菌叢を整えます。

なお、最近ではプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて、双方の働きがより効果的に発揮される「シンバイオティクス」も注目されています。(*2

プレバイオティクスの働き

プレバイオティクスの働き

プレバイオティクスは、人にとって有益な菌であるプロバイオティクスの栄養源となることによって、腸内細菌叢のバランスを改善します。つまり、プロバイオティクスの効果を引き出してくれる働きをもちます。

<プロバイオティクスの効果>

・便秘解消

・免疫機能の改善

・アレルギー症状の軽減

プレバイオティクスの具体例とおすすめのとり方

プレバイオティクスの具体例とおすすめのとり方

プレバイオティクスは、一部の食物繊維とオリゴ糖です。具体的には、下記の食品に豊富に含まれています。

・野菜類(ごぼう、にんじん、芽キャベツ、おくら、ブロッコリー、ほうれん草)

・豆類(大豆、ひよこ豆、豆乳、豆腐納豆)

・いも類(さつまいも、さといも、こんにゃく)

・海藻・きのこ類

・果物

プレバイオティクスは、腸内に元々存在する良い菌や、食物によって摂取したプロバイオティクスのエサになるものです。そのため、プレバイオティクスとプロバイオティクスをできるだけいっしょにとることで、より効果的な働きが期待できるでしょう。

参考:腸内細菌の多様性は日々の食事から!腸活にピッタリな食材を解説

なお、プレバイオティクスの代表的な成分である食物繊維には、消化・吸収をゆるやかにすることで、肥満の原因になる食後の急激な血糖値上昇を抑える効果があります。

さらに、一日の最初にとる食事を食物繊維豊富なものにすると、次の食事(セカンドミール)の後の血糖値上昇を抑える「セカンドミール効果」があることから、野菜や豆類に代表される食物繊維はできるだけ朝食に取り入れてください。

まとめ | プレバイオティクスで良い腸内環境を目指そう!

プレバイオティクスで良い腸内環境を目指そう!

プレバイオティクスには、腸内細菌の多様性を高める有益な菌の活動を促し、増殖させる働きがあります。

そのため、食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクス効果を活かすためには、プロバイオティクスと組み合わせることが大切。毎日の食事に上手に取り入れて、良い腸内細菌を増やしていきましょう。

引用

*1:プレバイオティクス | 腸内細菌学会 用語集

*2:シンバイオティクス | 腸内細菌学会 用語集