スーパーやドラッグストア、コンビニなどで、「オリゴ糖」を使ったお菓子やサプリメントを見かけたことはありませんか?腸活が注目される昨今、オリゴ糖は腸内環境を整えるのに役立つとして注目されている成分です。

しかし、オリゴ糖のもつ健康効果や腸に良い理由、具体的な取り入れ方は、意外と知られていません。せっかくなら、腸の働きをより高められるように、上手にとりたいですよね。

ここでは、オリゴ糖を含む食品や期待できる効果のほか、オリゴ糖をとる際の注意点について解説します。

オリゴ糖とはどんなもの?

オリゴ糖とはどんなもの?

オリゴ糖は、バナナをはじめさまざまな食品に含まれる糖の一種で、小腸で吸収されずに大腸まで届く「プレバイオティクス」のひとつです。(*1

プレバイオティクスには、腸内細菌の中でも人間の体に有用な働きをする菌のエサとなって菌を活性化させる、増すなどの働きがあります。

中でもオリゴ糖と結びつきが深いのはビフィズス菌で、オリゴ糖をとることでビフィズス菌が有意に増加することがわかっています。(*2

私たちがいつも食べている穀類、野菜、果物、ヨーグルトなどにもオリゴ糖は含まれており、これらを原料としてさまざまなオリゴ糖が作られています。現在販売されているオリゴ糖の中から、よく知られているものをピックアップしてみました。

・フラクトオリゴ糖

フラクトオリゴ糖は、砂糖の主成分であるショ糖や、水溶性の食物繊維のチコリの根、キクイモ、玉ねぎなどに含まれるイヌリンから作られたオリゴ糖。腸内環境を整え、食事からミネラルの吸収を促進する作用があります。

・大豆オリゴ糖

大豆オリゴ糖は、大豆に含まれるオリゴ糖。オリゴ糖の中でも、腸内細菌を増やす効果が高いといわれています。

・ガラクトオリゴ糖

ガラクトオリゴ糖は、牛乳に多く含まれる乳糖から作られたオリゴ糖。たんぱく質の消化吸収、ミネラルの吸収などをサポートします。

オリゴ糖にはどんな効果がある?

オリゴ糖を摂取することで、オリゴ糖をエサとしたビフィズス菌が数を増やし、腸内でそれらの菌の働きを高めます。ただし、オリゴ糖自体に即効性があるわけではないため、オリゴ糖の効果を実感するまでには最低でも2週間以上継続して取り入れることが大切です。

ヨーグルトやキムチ、漬物などに含まれる菌を毎日続けて摂取するとともに、エサとなるオリゴ糖の補給を継続しましょう。

①バランスの良い腸内環境を作る

近年、食事や運動で腸内環境のバランスを整えることによって、健康の増進を図る腸活が注目されています。

腸活で目指す「バランスのとれた腸内環境」とは、特定の菌ではなくさまざまな特性を持つ菌が腸内に存在し、多様な菌によって腸内細菌叢が形成されている状態です。

そのような状態にするには、腸内に今ある菌を維持し、不足している菌は外部から補わなくてはなりません。

ビフィズス菌は腸内細菌の中でも体に有用な菌のひとつですが、年齢とともに減少するため、オリゴ糖を摂取して数を増やすことが良い腸内環境作りにつながるのです。(*3

②便秘の改善をサポート

便秘の改善をサポート

ビフィズス菌が増えると、腸内で有害物質の産生が抑えられることによる便秘の改善をサポートします。

③ダイエットの手助け

ダイエットの手助け

オリゴ糖は食物繊維とともにプレバイオティクスとして働きます。特にオリゴ糖は甘みを持ち、100gあたりのカロリーも控えめなので砂糖の代替品としてもおすすめです。

また、オリゴ糖は短鎖脂肪酸を産生する菌を増やすので、ダイエットサポートに繋がります。

参考:腸活とダイエット??体作りや体重管理におすすめの腸活方法

オリゴ糖の健康効果を発揮するおすすめな取り入れ方

オリゴ糖は、さまざまな食品に含まれているほか、スーパーや薬局などで販売されている商品からもとることができます。オリゴ糖のおすすめのとり方についてご紹介しますので、参考にしてください。

オリゴ糖が含まれる食品を食べる

オリゴ糖が含まれる食品を食べる

野菜や果物、きのこ類には、天然のオリゴ糖が含まれています。ハチミツ、大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどは、特にその含有量が多い食品です。

食品から天然のオリゴ糖をとることがおすすめな理由は、それぞれの食品が持っている別の栄養素もいっしょに摂取できるから。

例えばたまねぎなら、オリゴ糖と同様に腸内細菌のエサになる食物繊維や、いわゆる「血液サラサラ効果」が期待できる硫化アリルもとることができます。

オリゴ糖商品を利用する

オリゴ糖商品を利用する

市販のオリゴ糖商品には、シロップタイプと粉末タイプがあります。多忙で食事が不規則になりがちな時は、オリゴ糖商品を取り入れるのもひとつの選択肢です。ヨーグルトや料理などに、砂糖の代替品として低カロリーで腸活効果もあるオリゴ糖を選んでみましょう。

さらに健康面でより効果を求めるのであれば、食品を原料として作られたオリゴ糖と、乳酸菌・ビフィズス菌でセットになったサプリメント等で補う方法もあります。

オリゴ糖は「一度にとりすぎない」ことが大切

オリゴ糖は「一度にとりすぎない」ことが大切

オリゴ糖は、一度にとりすぎないことが重要です。その時の体質・体調や目安量を超えたオリゴ糖摂取により、一時的におなかがゆるくなる、おなかが張るなどの症状が現れることがあります。

オリゴ糖の目安量は2〜10g程度と言われています。(*1

オリゴ糖を大量に摂取することによって病気の改善や健康効果が高まるわけではないのでご注意を。

体質に合うかどうかわからないときは、1回あたりの量を複数回に分けて摂取する、1日あたりの量を数日に分けてとるなどの工夫をし、オリゴ糖と自分の体との相性を確かめてください。

また、食事から炭水化物をしっかりとっている人や、間食が多い人などは、食事に加えてオリゴ糖をとることで糖質量が増えすぎる可能性があるので、普段の食生活とのバランスもみて取り入れましょう。

オリゴ糖の健康効果で、すこやかな毎日を

オリゴ糖の健康効果で、すこやかな毎日を

健康や美容、ダイエットに大きく関わる腸内環境を改善する上で、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖は注目すべき存在です。

そのため、健康のためにも腸内細菌の多様性を意識して普段から食材の種類を増やす習慣をつけ、さまざまな発酵食品も積極的に取り入れることに加え、オリゴ糖もぜひ取り入れてみましょう。

また、ヨーグルトやキムチ、漬物といった良い菌を含む食品といっしょにオリゴ糖をとると、腸活の効果が高まります。日常の食事にうまく取り入れてより良い腸内環境を目指し、ヘルシーな毎日を過ごしましょう。

引用

*1:腸内細菌と健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)

*2:北岡 本光(2019)ビフィズス菌とヒトミルクオリゴ糖、日本調理科学会誌、52巻5号、352-357

*3:安藤 朗(2015)腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能、日本内科学会雑誌、104巻1号、29-34