みなさんは睡眠を十分にとれていますか?

「夜遅くまで仕事をしているから睡眠時間を確保できない…」

「でも日中も眠くてぼーっとしてしまう…」

「睡眠が大事なのはわかるけど、寝るのがもったいないと感じてしまう…」

と思う方も多いのではないでしょうか。

睡眠不足は生活習慣病リスクと深く関係していると言われています。

これは睡眠不足の人では起きている時間が長く、その分食事の機会が増えてしまうという点もありますが、それ以外にも腸内環境が関係している可能性が報告されています。

そこで今回は、睡眠と腸内環境について研究結果をもとにお話いたします。

日本人は睡眠不足???

経済協力開発機構(OECD)が2022年に行った調査(*1)によると、日本人の平均睡眠時間は6時間48分でした。これは、2020年と比べると20分ほど睡眠時間が長くなってはいますが、OECDに加盟している国(38ヵ国)の中ではかなり短いといわれています。

では、睡眠時間が短いと、どのような問題があるのでしょうか。

睡眠不足で腸内細菌のバランスが崩れる?

ある研究の結果▼

睡眠時間を十分にとった場合と短時間睡眠させた場合での、腸内細菌のバランスを比較解析を行った結果、

睡眠不足時にはファーミキューテス菌の増加とバクテロイデス菌の減少の傾向があり、インスリンの効きが悪くなることによる糖質代謝異常(糖をうまくエネルギーとして利用できない状態)が生じる可能性が報告されました。(*2)

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つまり、睡眠時間は一部の腸内細菌のバランスを乱してしまい、栄養素の代謝に影響してしまうのです。

※成人期の腸内細菌叢は

”ファーミキューテス”と呼ばれるものに属する細菌

”バクテロイデス”と呼ばれるものに属する細菌

が主体となって構成されています(*3)

この二つの細菌群の比が肥満と相関するともいわれ、生活習慣病・肥満予防において重要な指標となります。

まとめ | しっかり睡眠を確保して腸内環境を整えましょう

一見腸内環境と関係のなさそうな睡眠時間ですが、実は短時間睡眠が腸内細菌叢のバランスに影響するということがわかりました。

また、今回ご紹介した研究では、腸内細菌叢のバランスは、肥満者で認められる腸内細菌バランスと同様の傾向であるとも報告されています。

つまり、睡眠時間の確保と規則正しい食生活は腸内細菌叢のバランスや多様性を高める手助けをしてくれます。

朝起きたら朝日を浴びて目を覚まし、毎日決まった時間に食事を摂るという基本的な生活習慣を身につけることで、腸を整えヘルシーな身体づくりを目指しましょう!

参考:腸をケアして快適な睡眠へ*睡眠の質と腸の関係や実践方法について

引用

*1:OECD Health Statistics 2022

*2:入江潤一郎,伊藤裕「睡眠と腸内細菌叢」腸内細菌学雑誌, 31, 143-150(2017)

*3:北本勝ひこ(2018)食と微生物の事典、朝倉書店