こんにちは、編集部の河原です。

もともと大学院時代に乳酸菌の研究をしていたことから、平素より乳酸菌に対する愛情は深い方な私。昔は、乳酸菌さんのため、朝4時に研究室へ会いに行く、1日のうち18時間は乳酸菌さんのお世話をする、なんてことをして愛を深めていました。

そんな私ですが、先日こんなことを友人に言われました。

「ヨーグルトの中に、本当に菌っているわけ??」

その時は「入ってるよ!」の一点張りだった私ですが、どうしてもこの事実を証明したい…という思いに駆られて、ついに弊社の研究室をノックします。

普段食べているヨーグルトに菌はいるの?

健康に良い、ということで、さまざまな企業からあらゆる機能をかね揃えた商品が所狭しにスーパー・コンビニを占領する、ヨーグルト。

乳酸菌やビフィズス菌のような、「菌」が入っているということはわかるけど、そもそも目に見えないもの。本当に入っているの……?と思う人がいるのも無理はありません。

ねえねえ、周りから、「ヨーグルトって本当に菌が入っているの?」と疑われることが多くて。どうにか説得したいんだけどどうしたらいいかな???

あ〜それなら、ヨーグルトの中の菌を見てみましょうよ。

という、何気ない会話ではじまった大人の科学実験。早速スケジュールを立てて、実行です。

実際にヨーグルトを使って菌を”分離”してみる

使用するヨーグルトたち

今回準備したのは5種類のヨーグルト。もともと研究畑にいた編集部・河原は、ちゃんと調べてそれぞれ違う菌が入った市販のヨーグルトを斡旋してきました。

お、全部違う菌で作られたヨーグルトですね。ちゃんと考えました?

も、もちろん!

ちなみに、この一番右の列のアルファベットは…???

私がわかりやすいように決めちゃいました。ほぼ菌名のイニシャルって感じです!

……

事前準備:菌の寝床を準備する

菌のための寝床を作りますよ。いわゆる培地です。

おお〜こうやって可愛い菌のための寝床も手作りしている姿も、みんなに見てほしいな…!!ん?あれ、2種類作るの?

乳酸菌とビフィズス菌は、それぞれ寝床に使う試薬が違うんです。乳酸菌とビフィズス菌はみなさんが思っている以上に違う生き物なので好きなエサが違うんですよ。

あ、なるほど!そっか、今回集めたヨーグルトは、乳酸菌とビフィズス菌両方ともあるんだった。ていうか、TOSとMRSの違いって何???私、MRSしか使ったことなくてさ…

MRSは乳酸菌もビフィズス菌もどっちも生育できる培地です。

TOS培地はオリゴ糖を分解するのが得意なビフィズス菌の方が生育しやすい培地です。

そのためTOS培地では乳酸菌は生育できないか、とても小さなコロニーを形成することになります。

ヨーグルトを菌が育つ培地に塗布してみる

おお!普段食べているヨーグルトをこんなふうに実験で使うのはなんだか面白い。私は横からヨーグルトをスプーンに取るという作業を横でしています。荻原くん、頑張れ〜!

河原さんもやっていいんですよ???

頑張れ〜!

ちなみに、本実験のステップはこのような感じです。

大半の、大切なところは荻原くんが作業してくれました。私はスプーンでヨーグルトをすくう、のみです。

温めて3日放置する

ヨーグルトをしっかりと塗り込んだ寝床たちを、しばしこちらに放置します。

これは何度に設定するの???

今回は、37度に設定しています。菌たちがしっかり育ちますように。

育ちますように!

3日後:実際に菌はそこにいた

わ!ちゃんと菌が増えてる!丸っこくてつるっとしてて、よく見たらみんな笑ってる(ように見える)可愛い〜〜〜!!てか、3日もかかるんだ…!!

可愛いですか(笑)ちゃんとみんな増えていますね。よかった。ちょっと並べてみましょうか!

すごい、2種類のプレートに菌が生えているものと、生えていないものがあるんだね!

そうですね。MRSは乳酸菌とビフィズス菌、TOS培地はビフィズス菌の寝床だと思っていただけるとわかりやすいでしょう。じゃあ、まずこの結果からわかることを列挙してみますね。

①ヨーグルトには菌が入っている

②全てのヨーグルトに同じ菌が入っているわけではない

③ヨーグルト界では、乳酸菌由来とビフィズス菌由来の2パターンが主流

うーん、よかった。これでヨーグルトに本当に菌は入っているんですよって胸張って言える!ありがとう、助かったよ。

いや、ちゃんとそれぞれの菌の形をみるまでは、僕は納得できません!

え、荻原くん???

僕は今からこれを顕微鏡で観察します!!それが僕の使命です!!!

いやいや、そこまでしなくてもいいのよ!ねえ!!ちょっと待って〜〜〜!!

〜ここから先は、菌の顕微鏡写真などが出てきますので、苦手な方はここで読み終わりです。〜

顕微鏡でも実際にヨーグルトの中にいる菌を(荻原が)見てみた

どうしてもヨーグルトの中にいる菌の顕微鏡写真を撮りたかった荻原くんによって、顕微鏡写真を入手しました。

河原さん!!無事に顕微鏡写真を撮ってきましたので、ぜひ見てみてください。僕の解説付きです。

あ、ありがとう・・・!!!(集合体恐怖症の方は今のうちに逃げてください)

※菌の顕微鏡写真は、念の為小さめに設定しております。もっとみたい方は、画像をアップにして見てみてください。
※菌の種類は各社の公表している情報と細胞形態からの推定になります。

どうですか?もう少し詳しく説明してもいいですか???例えば、ビフィズス菌の…….

たくさんの解説をありがとう!!!もう大丈夫かな!!!

これだけ材料が揃えられたら、私が伝えたかった本当のことが伝えられる気がする!

ん?なんです??本当のこと???

菌を毎日継続的に摂ることが大事な理由

食べ物の中に菌(生き物)がいるって、普通に考えると不思議なことじゃない?しかも、目に見えない生き物。

そうですね…確かに…

それと一緒で、私たちのお腹(腸)の中にも、めちゃくちゃな数の菌がいて、その数やバランスで私たちの日々の健康が決まってくるって考えると、すごく尊いことじゃない??

そうですね。しかも、毎日そのバランスは一緒ではなくて、それこそ食べたもので腸内フローラのバランスは変わってくると考えると、僕は”腸内空間デザイナー”としてみんなの平均点をよくしたいって思いますね。

“腸内空間デザイナー”…???

僕のことです。

あ、そうなんだ。とにかく、何が言いたいかというと!

わたしたちよりはるかに小さい生き物が、食べ物を美味しくしたり生き物の健康に寄与しているって考えると、もう菌に足を向けて眠れないというか…

はは。その感覚、わかります。今回はヨーグルトの中に、本当に菌がいるかを見ましたが、そんな風に体に良い菌を食事ないしはサプリメントから毎日継続的に摂ることって、研究視点から見ても大切。もはやスタンダードになってほしいですね。

ほんとそう!あと菌はいつ見ても可愛い!

まとめ|ヨーグルトの中には本当に菌がいたよ

研究員荻原くん全面協力のもと、無事にヨーグルトの中に菌がいることが証明できました。

ヨーグルトの中には生きている菌が入っているって、早速みんなに写真付きで伝えてきます〜!

なかなか目では見えないものなので、こうやって僕たち研究者がみなさんへお見せできてよかったです。ちゃんと僕の解説も添えて説明してきてくださいね。

ぐ・・・わかりました・・・・またこういうシリーズやってみようね!次は何をしようかな〜!

※ちなみに、余ったヨーグルトは実験後に美味しくいただきました。