監修者
広瀬歩美 | 管理栄養士、博士(医学)

千葉県出身。お茶の水女子大学卒業後管理栄養士国家試験合格。生活習慣病専門クリニック勤務を経て、2013年に筑波大学大学院にて博士(医学)を取得。私立大学にて「子どもの食と栄養」等の講義を担当する中で、自身も独学で保育士資格を取得した。論文や学会で成果発表する傍ら、市民講座や小中学校での講演会も多数行った。現在はフリーランスとして、商品開発や食堂メニューの監修、オンライン栄養指導などを行っている。

「子どもにも腸活してほしいけれど、偏食でそれどころではない。」

最近では、腸内細菌叢が私たちの健康に深く関わっている研究結果が多く報告されていますから、腸活に関心のあるパパママは、「ぜひ、子どもにも!」と思いますよね。

しかし一方で、特に幼児ではこだわりや偏食が強い場合も多くあります。

たとえば、「白いものしか食べられない」「決まったものしか食べられない」など、栄養面が心配になってしまうことも。

だからと言って、子どもに無理やり食べさせることはできません。

そこで今回は、偏食の子どもにご飯を食べさせるための工夫、子どもと一緒にできる腸活をご紹介します。

腸活の基本|菌を摂る、菌を育てる、菌を守る

腸活の基本は「菌をとる」「菌を育てる」ことです(*1)。

多種多様な種類の食材を摂ることが、腸の多様性を育てるうえでの大切なポイントとなります。

参考:腸内細菌の多様性が大切*さまざまな菌を摂り入れて腸内環境を整える。

そのため、偏食のお子さんが色々な食材を食べられるように工夫をすることそのものが立派な腸活です!

例えば特定のものしか食べない場合、まずは食べられる食材に似たものから、食べられそうな食材を探すのがおすすめです。

たとえばしめじが食べられたら、まいたけ、エリンギ、しいたけ……と似ているものを少しずつ試すイメージです。

つい焦って「野菜を細かく切って混ぜ込めばOK!」をやりたくなりますが、残念ながら味覚が敏感なお子さんには通用しないことも多いので注意。

一見遠回りに感じますが、食材を見せる、一緒に料理するなどで、子どもがその食材・料理に対して安心感や慣れを持てるといいですね。

子どもだけで食べるのではなく、大人も一緒に食卓を囲むことも大切です。大人がおいしそうに食べているのをみて、一口だけでも食べられたら、大喜びしましょう!

こんな時はどうしたらいい?ケース別に解説!

たとえば、にんじんが嫌いでもほうれん草は食べられるなど、苦手な食材が多くても他の食品で栄養を補えるようであれば、好き嫌いは多くとも偏食として悩まなくても大丈夫。

身体が成長曲線に沿って大きくなっていて、元気があれば大丈夫。楽しい食卓を大切にすれば、成長に伴ってだんだんと食べられるものも増えるはずです。いい意味で諦めて、ぼちぼちやっていきましょう!

参考:子どもの野菜嫌いの悩みを解消!理由と工夫を管理栄養士・保育士が解説

ここでは、もう少し心配な「栄養が足りなくなるかも」というよくあるケースについて、「食の幅を増やすことによる腸活」という観点から解説します。

ケース1 お菓子やジュースしか食べない

食事やお茶には手をつけず「お菓子、ジュース」と泣き叫ぶ姿に、根負けして与えてしまう……。

お菓子やジュースの栄養は、糖質や脂質に偏っていて味も濃いですし、身体を作る材料となるたんぱく質やミネラル、ビタミンなどの栄養素も残念ながら足りません。

子どもに大泣きされると「もう好きにして」と言いたくなる気持ち、私もとてもわかります!
でも、ここで「泣けば手に入る」という誤学習をなるべく減らせたら、巡り巡ってパパ、ママ、子ども自身みんなの困りごとを減らし、気を楽にしてくれますよ!

根負けしないためにおすすめなのが、まずは最初から家にお菓子やジュースを置かないこと。

買いに行く手間がある分、泣かれても根負けしにくくなりますし、「ご飯を食べたら、一緒にひとつ買いに行こう」と子どもに楽しみな気持ちを持たせられます。

他にはこんなこともおすすめです。

・ヨーグルトや果物など、甘さがあり腸にも良い食べ物を、お菓子と置き換えていく

・「食後に1つ」や「10時」「15時」など時間を決めて、それ以外にお菓子を欲しがっても根負けしない

・今の時点で、子ども自身が執着していない/存在を知らないお菓子は与えない

・ジュースは、水で少しずつ薄くしていく

・料理の手伝いをしてもらって、自分で作る喜びを味わえるようにする

意外と難しいのが、両親や祖父母など、家族みんなの理解が必要なこと。
協力を得られない家族には健診や通院に付き添ってもらい、医師や栄養士、保健師などの専門家に協力してもらうのも手ですよ。

ケース2 白いものしか食べられない

意外かもしれませんが、白いものしか食べない、というお子様はいます。

こだわりや感覚過敏により特定のもの(例としては「白いもの」)しか食べられないお子さんの場合も、栄養が足りるか心配ですよね。

もし白いものなら大体食べられるのであれば、意外と栄養は確保できますよ。

・糖質:ご飯、パン

・主菜:豆腐、白身魚、ヨーグルト、チーズ、牛乳

・副菜:カリフラワー、玉ねぎ、白胡麻、れんこん、えのき など

ご飯は、ビタミンB1の多い胚芽を残したお米にしたり、炊飯器に追加するサプリメントを使うという方法もあります。

ヨーグルトは、カップにこだわりがある場合もありますが、そうでなければお皿に出すようにして、色々なメーカーのものを食べるのも腸活にはおすすめです。

また、チーズやホワイトソースをかけて白くすれば、他の食材も食べられるという可能性もあります。

一喜一憂せず、色々と試してみてくださいね。

鉄分やビタミンAなど、どうしても白だけでは摂りにくい栄養素に関しては、サプリメントの活用も含めて主治医の先生と相談してみるのがおすすめです。

ケース3 決まったものしか食べられない

白米だけ、食パンだけしか食べないなど、ケース2よりももっと食べる幅が狭い場合もあります。

お茶碗によそられた白いご飯は食べられるけれど、ふりかけご飯はダメ、おにぎりはダメ、なんてことも。

とっても心配になりますよね。

子どもデイケアに通う特別な配慮を必要とする小学生から高校生11名へ対し、食育活動(調理実習、座学)を行なった研究では、5年2ヶ月に渡る活動を通して、偏食や食わず嫌いが減り、周囲と協力する姿勢が見られるようになったそう(*2)。

幼児のうちは、親子で一緒に料理することで調理によって食材の形が変わることを学び、 食べ物が出てくる絵本などで、同じ食べ物だけど形が違うこともあると伝えていくのがおすすめです。

食べられるものを少しずつ増やすことが、腸活です

偏食だから腸活なんて……と思う必要は全くありません。

子どもの食の幅が広がるように試行錯誤することは、それ自体が立派な腸活です。

大切なのはお子さんの成長、そしてお子さん、パパ、ママ、みんなの笑顔です。

無理せず無茶せず、スモールステップでやっていきましょう。

引用:

*1: eヘルスネット|腸内細菌と健康

:2: 西村由美子.特別な配慮が必要な子どもにおける,食育による行動変化―心療内科子どもデイケアの取り組みから―. 日本公衆衛生看護学会誌 Vol.12 No.1 (2023)