運動時はもちろん、健康維持のためのタンパク質補給にも役立つプロテイン。

このプロテイン、つまりタンパク質のことですが、大人だけでなく子どもにとっても重要な栄養素であり、健やかな成長に欠かせないものですが、「子どもにプロテインを飲ませてもいいの?」と考えている親御さんも多いのではないでしょうか。

しかしながら、どのプロテインのパッケージを見ても、対象年齢の記載がありません。

そこで、管理栄養士が「子どもにプロテインを飲ませて良いのか?」についてお答えします。

結論:子どもにプロテインを飲ませてもOK!ただし注意が必要です

結論:子どもにプロテインを飲ませてもOK!ただし注意が必要です

結論から言えば、子どもにプロテインを飲ませても問題ありません。しかし、注意すべき点もありますので、飲ませる前に以下を確認してください。

・タンパク質の摂りすぎにならないか

タンパク質は成長に欠かせない栄養素ですが、必要以上に摂りすぎると腸内環境を乱す可能性もあります。必要量を把握し、食が細いなどの理由で普段の食事から補うのが難しい場合にプロテインを取り入れましょう。

・アレルギーなどの問題はないか

プロテインは、ホエイ、カゼイ、ソイなどの種類があります。これらは牛乳や大豆からできていますが、昨今はこれらの食材のアレルギーを持つ子どもが増えているので注意が必要。原材料をしっかり確認しましょう。

・あくまでも栄養補助という役割を忘れない

プロテインは食事ではありません。子どもの頃の食事は、将来を通じた食生活・味覚の形成に大きな影響を与えるので、基本は食事から必要な栄養素を補うのが最優先です。プロテインを飲んだから大丈夫、というわけではなく、しっかり基本の食事を楽しむこともお忘れなく。

基礎知識:成長期の子どもに必要なタンパク質量は?

基礎知識:成長期の子どもに必要なタンパク質量は?

年齢や性別に応じて、1日に必要なタンパク質量は異なります。

そのため、お子さんに必要なタンパク質量を、あらかじめ頭に入れておきましょう。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)によれば、年齢別でタンパク質の目標量(上限)は以下の通りとなっています。なお、日常的な運動を含む身体活動の強度によって差がある点に注意してください。

 男性 女性 
6~7歳44~85g/日41~80g/日
8~9歳52~103g/日47~95g/日
10~11歳63~123g/日60~118g/日
12~14歳75~145g/日68~133g/日
15~17歳81~158g/日67~128g/日

(参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

特に部活動などで強度の高い運動を行っている方は、こちらの表に示した量では不足する可能性もあるので、多めに補う必要があります。各個人に応じて、不足しないよう日々の食事等でコントロールすることが大切です。

ただし、基本的に子どもの場合、食事がしっかり摂れていればたんぱく質量が不足することは少ないでしょう。むしろ、食事で足りないほど運動量が多い方が問題なこともあります。どんな食事が適切なのか、以下に例を挙げておきます。 

<例:たんぱく質80gを食べ物で考えた場合>
朝:ごはん茶碗1杯、目玉焼き、牛乳コップ一杯
昼:ごはん茶碗1杯、鮭(切り身1切れ80g)、牛乳コップ1杯
夕:ごはん茶碗1杯、ハンバーグ(70g)、ヨーグルト(100g) 

上記は、たんぱく質の少ない副菜や果物は含まないものと考えたケースです。まずは普段の食事で、3食共に「主食」「主菜」「乳製品」が揃っているかどうか確認しましょう。もし胃腸が弱くい等の理由でたくさんの食事を食べられない場合は、間食にゆで卵を食べる、プロテインを飲むなども検討してみてください。

プロテインを飲ませる=子どもが健やかに成長する、ではない

子どもの健やかな成長の指標として、身長があります。

よく、「プロテインを飲むと身長が伸びる」という話もありますが、そんなことはありません。

身長に限らず子どもの成長を支えるのは、三大栄養素、ビタミン、ミネラル、食物繊維など。普段の食事をしっかり摂ることが成長への近道なのです。

大切なのは普段の食事で栄養バランスを整えること 

プロテインは子どもが摂取しても問題ありません。

寝坊しがちで朝ごはんが不十分、食が細くて食事量が少ない、両親が共働きで食事のバランスが不安…などの悩みにプロテインを活用するのはひとつの手であります。

また、中学生〜高校生になれば、部活動で日常的に運動しているとタンパク質が不足してしまうと思われる方がいるかもしれません。しかし、ちゃんとバランスよく食事をとっていてタンパク質が不足するようであれば、むしろ運動量を調整すべきと言えます。

例えば高校生が部活で激しい運動を行い、帰宅までの時間が長くすぐ食事することができない。あるいは近くに食べ物を買う場所がないなど、必要なタイミングでどうしても食事から栄養補給できないなら、水だけあれば飲めるプロテインの活用はおすすめです。

まとめ|子どももプロテインを飲んでも大丈夫!ただし基本は食事から

子供から大人まで年齢を問わず、プロテインはタンパク質を摂取するために有効な手段です。

しかし成長期にある子どもの場合は、あくまで食事による栄養バランスを第一として考えましょう。

年齢や性別、あるいは日々の運動量などによっても、1日に必要なタンパク質量は異なります。自分あるいはお子さんに、どれくらいのタンパク質が必要なのか。まずは目安となる量を念頭に置き、どうしても食事だけで不足した際には、補助的なものとしてプロテインを活用してくださいね。