腸内環境と健康の関わりが広く知られるようになり、腸活に取り組む人が増えてきました。手軽に始められる腸活として、乳酸菌やビフィズス菌が多く含まれているヨーグルトを食べている方も多いのではないでしょうか。
ヨーグルトはスーパーやコンビニで安価に購入でき、手軽に取り入れやすいですが、種類が多くどれを買えば良いのかわかりにくいのが悩みどころです。それぞれのヨーグルトの特徴や選び方、食べ方のコツを知って、より効果的な腸活につなげましょう。
腸活にヨーグルトが良い理由
ヨーグルトが腸活に良いといわれる最大の理由は、ヨーグルトには体に良い働きをする菌として知られる乳酸菌やビフィズス菌が多く含まれていることにあります。特に、年齢とともに減少するビフィズス菌を食事から補えるのは、大きな魅力。
また、腸活の効果を体感するためには、長期的に継続することが大切です。体に良いとわかっていても、手に入れるのが困難だったり手間がかかったりしたら、なかなか続きません。
その点、ヨーグルトはコンビニやスーパーなど身近な場所で購入でき、すぐに食べられます。飲むタイプのヨーグルトなら、ちょっとした隙間時間や、何か作業をしながらでもとることができるでしょう。
腸活のためのヨーグルトの選び方
ヨーグルトで腸活をするには、自分の体と相性が良く、効果が実感できるものを見つける必要があります。最近では、特定の健康効果が期待できる「機能性表示食品」のヨーグルトも増えていますが、良いパートナーになってくれるヨーグルトを見つけるにはどうすればいいのでしょうか。
効果的な腸活をするためのヨーグルトの選び方のコツは、主に下記の5つがあります。
①ひとつに決めず、いろいろ食べる
FAOとWHOによって定められたヨーグルトの定義によると、「ヨーグルトとは乳及び乳酸菌を原料とし、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)とサーモフィラス菌(Streptococcus thermophilus)が大量に存在し、その発酵作用で作られた物」と定められています。(*1)しかし、日本では発酵乳として位置付けられ、乳酸菌だけでなく、ビフィズス菌や酵母を利用したものがあります。
それぞれのヨーグルトに含まれる菌は種類が少ないため、どれかひとつのヨーグルトをとり続けても腸内フローラの多様性の向上は期待できません。腸活効果を上げるなら、いろいろなヨーグルトを食べ、さまざまな菌をとることが大切です。
②商品に書かれている菌の特徴を参考にする
機能性表示食品のヨーグルトは、
- 生きて腸まで届き、腸内環境を改善する
- 便通を良くする
- 中性脂肪の上昇を穏やかにする
- 内臓脂肪を減らす
- 免疫バランスを整えて目や鼻の不快感をやわらげる
など、摂取することで期待できる健康効果をパッケージに記載しています。
便秘ぎみでつらい、血糖値が気になる、最近太ってきた…など、自身が気にしている健康課題があれば、その解決につながりそうな表示があるヨーグルトを選ぶのもいいでしょう。
③ビフィズス菌が含まれているものを選ぶ
実はすべてのヨーグルトにビフィズス菌が含まれているわけではありません。そのため、②で書いたように、商品パッケージの記載を見て、ビフィズス菌の文字を探してみてください。
ビフィズス菌は、発酵によって乳酸と酢酸を作ります。(*2)特に酢酸は、お酢などにも含まれている成分で、強い殺菌力をもちます。それにより、体に悪い影響を与える菌の増殖を抑えることで腸内環境を整えるほか、感染症の予防や腸内の炎症の抑制なども期待できるため、ビフィズス菌をとることは健康に良い効果があるでしょう。(*3)
④おなかの調子に合わせて選ぶ
ヨーグルトをとった後、おなかがゆるくなるなどの不調を感じた場合、ヨーグルトに入っている菌が体質に合わない、または牛乳がお腹にあっていない可能性があります。そんなときは、無理してとり続けるのはやめましょう。
別の菌を含むヨーグルトに変えてみるか、腸活は少しお休みして様子を見ることをおすすめします。
⑤できるだけ無糖のヨーグルトにする
甘いヨーグルトは口当たりが良く食べやすい分、多くの糖質が含まれていることに注意が必要です。ヨーグルトはデザートやおやつとして食事にプラスして食べることが多いため、1日の理想的な糖質摂取量を大きく超えてしまう可能性があります。
なるべく無糖のヨーグルトを選び、甘さが欲しいときは蜂蜜やオリゴ糖などのプレバイオティクスをプラスしましょう。
腸活の効果を上げるヨーグルトの食べ方
腸活に良いといわれるヨーグルトですが、食べ方や食べるタイミングも、腸活の効果を上げる重要なポイントです。日常生活に取り入れやすい食べ方とタイミングをご紹介します。
プレバイオティクスといっしょにとる
ヨーグルトは、腸内細菌叢のバランスを整え、人間の体にとって良い働きをする「プロバイオティクス」と呼ばれる微生物を多く含む食品で、「プレバイオティクス」と併せてとることでさらに効果が高まります。
プレバイオティクスにはさまざまな食品がありますが、代表的なものでいうと果物やハチミツに含まれるオリゴ糖がヨーグルトと合せやすいでしょう。ヨーグルトに冷凍フルーツをプラスする、オリゴ糖シロップを取り入れるなどで、相乗効果を狙ってみてください。
食後のタイミングにとる
ヨーグルトを食べるタイミングに、厳密な規定はありません。ですが、ビフィズス菌は食後にとったほうが良いといわれています。これは、ビフィズス菌は胃酸に弱いため、食後の胃酸が薄まっている状態で摂り入れる方が、生きて腸まで届きやすくなるからです。とはいえ、とるタイミングよりは続けることのほうが重要ですから、無理なくとるようにしてください。
ヨーグルトをとるシーン別の、おすすめのヨーグルトのタイプは下記のとおりです。
・朝食べるなら「フルーツヨーグルト」
脳の働きを活性化し、仕事や勉強に集中するためにも、朝食は欠かせません。忙しくて朝食をとる暇がないときは、ヨーグルトを朝食代わりにするのもいいでしょう。フルーツがたっぷり入ったヨーグルトなら、プレバイオティクスも同時にとれて効率的です。
・夜食べるなら「プレーンヨーグルト」
とり方によっては血糖値を上げて生活習慣病など疾患のリスクを高めるといわれています。糖質を多く含むヨーグルトも、食後の血糖値を上げるので要注意。
血糖値が高いまま眠り、睡眠時や起床時の血糖値に影響を及ぼさないよう、夜は糖分を抑えたプレーンヨーグルトがいいでしょう。
・仕事や勉強の合間にとるなら「ドリンクタイプ」
仕事や勉強の合間に食べるなら、手軽に飲めるドリンクタイプがおすすめです。ただし、砂糖が多く含まれるタイプは、糖質のとりすぎになるおそれがあります。
食事代わりでなくおやつのような感覚で飲む場合、プレーンのものを選ぶようにしましょう。
自分に合ったヨーグルトで長期的な腸活を
腸活に取り組むにあたって、手に取りやすいヨーグルトは強い味方です。飽きずに続けられるよう、機能性の表示や糖質の有無、食べたときのおなかの調子、ビフィズス菌が含まれているかどうかなど、気になる点をチェックして自分に合ったヨーグルトを見つけましょう。
腸内細菌の多様性を保つため、なるべくいろいろな種類のヨーグルトを食べることも忘れないようにしてくださいね。
引用
*1:小田宗宏(2016)ヨーグルトと微生物、モダンメディア、62(11)、367-374
*3:福田真嗣(2011)ビフィズス菌が産生する酢酸が病原性大腸菌感染を予防する:糖トランスポーターの重要、科研費NEWS、29(6)、923-926