「最近ダイエットをしてもやせにくい体質になった気がする…」

「ダイエットしたいのに、ついつい食べすぎてしまう…」

「運動したいと思いつつも、忙しくてできていない…」

このようなお悩みをかかえていませんか?

実は、腸を整える「腸活」は食欲を抑えてダイエットに良い働きをすることが近年注目されています。つい食べ過ぎてしまうという人は、まずは腸を整えることから意識してみましょう。

今回は、食欲を抑えてダイエットを成功させたい方へ向けて、食欲と腸内環境の関係性についてお話いたします。

腸内環境と食欲ホルモンの関係は?

食欲は、食欲を抑える「レプチン」、食欲を促進する「グレリン」といったホルモンや、満腹中枢、咀嚼回数などのさまざまな要因によって支配されています。(*1)

たとえば、肥満傾向の人は食欲を抑えるレプチンが効かず、食欲が止まらない場合もあります。

そんな食欲ですが、実は腸内環境を整えることでコントロールできるかもしれません。

キーワードは『短鎖脂肪酸』

「短鎖脂肪酸」とは主に酢酸やプロピオン酸、酪酸に代表される物質のことであり、大腸に存在する腸内細菌が炭水化物(主に食物繊維)を代謝することで作り出されます。(*2)

この短鎖脂肪酸は肥満予防作用などでも注目されており、例えば酢酸は腸内でホルモン分泌を通してエネルギーの消費量を増やし、肥満を予防する働きがあるといわれています。(*3)

また、肥満に伴う糖質代謝やインスリン(血糖値を下げるホルモン)の作用を正常化する働きがあるとも考えられています。(*4)

参考:ダイエットと腸活

短鎖脂肪酸と食欲はどのように関係している?

食事から摂取した食物繊維が腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸が作られると、食欲抑制ホルモンのひとつである「peptide YY(PYY)」と呼ばれる物質の産生が増えます。

その結果として食欲抑制につながる可能性があります。(*5)

つまり、腸内環境を整えることは、食べ過ぎ予防に繋がる可能性があるのです。

腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すための食事と運動

食欲を抑える働きがある短鎖脂肪酸を増やすためには、普段の食事から「食物繊維」を取り入れることが大切です。(*6)食物繊維を補うためにも、野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう。

また、運動習慣がある人の方は、腸内細菌の多様性が高く、腸内の短鎖脂肪酸の量が多いこともわかっています。

参考:アスリートの腸内環境が優秀な理由。腸内細菌の多様性と短鎖脂肪酸が大切*

普段の食事にひと工夫で腸活

腸活に欠かせないものとして、プレバイオティクス(腸内細菌のエサ)である水溶性食物繊維とオリゴ糖を意識してみましょう。

食物繊維やオリゴ糖を毎日の食事にプラスするとなると、工夫をしなくてはいけないと思われがちですが、普段の食事に一工夫するだけでも取り組めます。

たとえば、汁物を水溶性食物繊維たっぷりの野菜やきのこ、海藻などで具沢山にしたり、ご飯に雑穀やもち麦を加えたりするとよいでしょう。また、海藻やきのこ類などの乾燥食材を常備してサラダに追加するのもおすすめですよ。

コンビニで腸活商品を選ぶのもおすすめ!

「毎日忙しくてスーパーに寄るヒマも食事を作るヒマもない!」という方は、手軽にできるコンビニ腸活からはじめてみてはいかがでしょうか?

手軽に立ち寄れるコンビニでも、食物繊維が入った商品が手軽に買えますよ。たとえば、以下のような商品がおすすめです。

・雑穀・もち麦入りおにぎり

・サラダ(海藻類などがトッピングされているもの)

・食物繊維入りのバーやクッキー

・汁物、鍋物

・ドライフルーツ など

最近は食物繊維量が分かりやすく記載されている商品も増えたので、購入する際にチェックしてみましょう。

簡単な運動で腸活

腸内の短鎖脂肪酸(食欲を抑える)の量は、全く運動しない人よりも、運動習慣がある人の方が多いことがわかっています。そのため、ウォーキングや散歩など、短時間でできる簡単な有酸素運動を普段の生活に取り入れることが大切です。

仕事帰りに一駅分歩いてみたり、寝る前に簡単なストレッチをしたりするのもおすすめですよ。

まとめ | 腸活で食欲を抑えて健康的なダイエットを

一見、関連性がなさそうな「食欲と腸内環境」ですが、腸で作られる「短鎖脂肪酸」には食欲を抑える働きがあり、腸活はダイエットにもいいことがわかりました。

「腸活」と聞くと何をしたらいいの?と思う方もいるかもしれませんが、、今回ご紹介した方法のように普段の食事を少し工夫したり、簡単な運動を取り入れてみるだけでも実践できますよ。

参考:腸活にピッタリな食材はこちら!

これからは、ダイエットの観点でも腸を整えることが当たり前になるかもしれません。まずは簡単なことから腸活に取り組んでみましょう!

引用

*1:栄養科学イラストレイテッド 基礎栄養学、羊土社

*2: Schönfeld, P. and Wojtczak, L. (2016) Short- and medium-chain fatty acids in energy metabolism: the cellular perspective. J. Lipid. Res., 57(6), 943-54.

*3:Hernández, M.A.G., Canfora, E.E., Jocken, J.W.E. and Blaak, E.E. (2019) The Short-Chain Fatty Acid Acetate in Body Weight Control and Insulin Sensitivity. Nutrients, 11(8):1943. 

*4:Canfora, E.E., Jocken, J.W. and Blaak, E.E. (2015) Short-chain fatty acids in control of body weight and insulin sensitivity. Nat. Rev. Endocrinol., 11(10):577-91.

*5:Chambers, E.S., Morrison, D.J. and Frost, G. (2015) Control of appetite and energy intake by SCFA: what are the potential underlying mechanisms? Proc. Nutr. Soc., 74(3):328-36.

*6:De Filippis, F., Pellegrini, N. and Vannini, L. et al. (2016) High-level adherence to a Mediterranean diet beneficially impacts the gut microbiota and associated metabolome. Gut, 65(11):1812-1821.