皆さんは日頃から良好な腸内環境を保つことができていますか?

腸内を見ることはできませんが、腸内環境の状態をモニタリングする方法のひとつに、排便状況があります。これは、うんちの状態(形やにおい)を見ることだけでなく、きちんと定期的にうんちを外へ出すことができているかも含まれます。便秘や下痢など、排便状況があまり良くない場合、腸内環境が悪化している可能性も。

腸内環境の悪化は免疫力の低下や便秘、肌荒れなどの様々な身体のトラブルに影響し、特に便秘は大腸がんとも関係があるといわれています。そんな時におすすめな発酵食品が、甘酒です。

そこで今回は、甘酒と便秘の関係について研究結果をもとに解説します。

甘酒とは?

甘酒

一般的に甘酒は、米麹から作られるものと酒粕から作られるものと二つに大きく分けられます。本記事では、米麹から作られる甘酒に着目します。

米麹から作られる甘酒には、麹菌がその作り方の中で大きく貢献しています。麹菌はカビの一種で、アミラーゼ(でんぷんを分解してグルコースなどに変換する酵素)活性を持っています。そのため、麹菌がお米を分解することで、砂糖いらずの甘い甘酒が出来上がります。

日本は高温多湿な環境の多い季節や地域が多く、古くから麹菌のようなカビを用いた発酵食品が作られてきました。甘酒はその中の代表であり、今でもなお多くの人から愛されるドリンクです。そんな甘酒には、排便に良い影響を与える可能性があることがわかってきました。

甘酒が便秘改善を助ける?

トイレ

実際に甘酒に便通改善効果があるのかどうか確かめるために、女子大学生を対象に行われた研究をご紹介します。

参加した人たちは便秘を改善させたい(排便状況に満足できてない)人たちであり、甘酒(一日150ml)を飲む群と飲まない群の2つに分けて実験を行いました。
その結果、甘酒を飲まなかった人たちと比べて、甘酒を飲んだ人たちでは排便回数が優位に増えたという報告があります。(*1)

甘酒が便秘改善に良い理由

甘酒

甘酒にはデンプンが発酵する際に分解されてできる「オリゴ糖」や「イヌリン」が含まれています。

このオリゴ糖やイヌリンには腸内環境を改善する効果があると知られており、また、栄養素の代謝に関係するビタミンB群も相まって腸内環境を整えたことで、便通が改善したのではと推測されます。

まとめ | 1日一杯の甘酒で毎日スッキリを目指そう

甘酒

日本の誇る発酵食品である甘酒。最近ではスーパーだけでなくコンビニでも手軽に手に入り、発酵食品を作ることのできる家電も増えたので、米麹を買っておうちで作る人も多くなりました。今まで馴染みがなかったという人でも、取り入れやすい発酵食品としておすすめです。また、甘酒が苦手…という方は、ヨーグルトや豆乳と割ったり、ドレッシングの材料に使ったりと、アレンジもできます。

甘酒には糖質が多く血糖値を上げやすいので摂りすぎには注意ですが、便秘にお悩みの方は1日1杯程度の甘酒を間食や料理に加えて、毎日スッキリを目指しましょう!

引用

1*:住吉和子、中尾美幸(2017)便秘に対する甘酒の摂取効果、日本看護技術学会誌,、16:36-40