「骨を強くするために、カルシウムをしっかり摂りたい」
「骨粗鬆症予防に役立つ食材や食生活のヒントを知りたい」
このようなお悩みをかかえていませんか?
実は、骨を強くして骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの摂取はもちろんのこと、腸内環境を整える「腸活」が大切だということがわかっています。
そこで今回は、カルシウムと腸内環境の関係についてお話いたします。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、加齢や食生活の変化などが引き金となり、骨の強度が下がることで骨折リスクが増大する疾患です。(*1)
骨粗鬆症になると、尻もちをついただけで手首や足の骨を圧迫骨折する、動くと腰の痛みを感じるという方もいます。(*2)
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症には2種類あり、その原因によって「原発性骨粗鬆症」と「続発性(二次性)骨粗鬆症」にわけられます。(*2)
- 原発性骨粗鬆症:加齢や閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)低下によって起こるもの。
- 続発性(二次性)骨粗鬆症:遺伝や栄養不足、ほかの病気や薬の影響で起こるもの。
骨粗鬆症と年齢の関係は?
骨粗鬆症を防ぐためには、若いうちに骨量を増やして維持し、閉経後は骨量低下スピードをゆるやかにすることが大切です。 (*1)
以下では、年齢ごとの骨粗鬆症に関する注意点を紹介します。
思春期〜成年期
思春期〜成年期では、過度なダイエットによって骨量が少なくなる場合があります。摂取カロリーが少ないなかでの運動は無月経を誘発し、さらに運動が加わることで、骨量が低下する可能性も。過度な運動やスポーツには注意しましょう。
妊娠・授乳期
妊娠・授乳期は、骨から溶け出したカルシウムが腸に吸収されやすい時期です。そのため、この期間の骨密度は著しく低下する傾向にあります。
また、閉経後の骨粗鬆症リスクは、授乳経験がある人ほど低いといわれています。
更年期
更年期は、加齢によって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下し、骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。
閉経後
閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量がさらに減り、運動量も低下することで骨がもろくなりやすい時期です。
食生活で骨粗鬆症を予防しましょう
骨粗鬆症を予防するためには「カルシウムを積極的に摂ることが大切」というイメージをもつ方が多いと思いますが、実は腸活(腸内環境を整えること)や食事から摂るカルシウム以外の栄養素も大切です。
骨粗鬆症は栄養バランスで予防する!
骨粗鬆症の予防にはカルシウムの摂取はもちろんのこと、骨へのカルシウム吸収を促進するビタミンD、ビタミンKもバランスよく摂ることが大切です。
カルシウムは小魚や乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)に多く含まれるので、間食に小魚やチーズを摂るとよいでしょう。
ビタミンDは、キノコ類や動物性の食材全般(お肉、魚など)に含まれています。体内のビタミンDを増やすためには、1日30分程度日光に浴びるのもおすすめです◎
ビタミンKはブロッコリーやアブラナ科の野菜(小松菜、ほうれん草など)、納豆、海藻類(わかめ、海苔など)に多く含まれます。野菜スープでまるごといただく、油と一緒に炒めて吸収率を上げるなどの調理方法がおすすめです。
骨を強くするための腸活
意外に思う方もいるかもしれませんが、骨を強くするためには腸内環境を整える「腸活」も重要です。
たとえば、骨を丈夫にするために必要なカルシウムは、小腸で吸収されています。また、小腸での吸収が悪い場合は、大腸(結腸)がその吸収を補助できることもわかっています。(*3)
そして、腸内細菌のエサであるオリゴ糖(プレバイオティクスのひとつ)を摂ることでカルシウムの吸収が高まるという報告も多くされています。(*3)これは、オリゴ糖を食べることで腸内細菌が「短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸など)」と呼ばれる物質を作り出し、大腸でのカルシウムの吸収が高まるのです。
菌のエサを摂ってよりカルシウムを吸収しやすい腸内環境に!
腸におけるカルシウムの吸収効率を高める「短鎖脂肪酸」を増やすためには、菌のエサであるオリゴ糖や水溶性食物繊維を食事から取り入れることが重要です。
オリゴ糖、水溶性食物繊維といったプレバイオティクスは野菜や果物、海藻類に多く含まれます。(*4)
プレバイオティクス成分は、大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどの食品に多く含まれています。
骨粗鬆症予防で避けたい食・生活習慣は?
骨粗鬆症にならないための食事だけでなく、予防するためにも避けたい食・生活習慣を知っておきましょう。具体的には、以下の6つの項目を避けることをおすすめします。(*2)
- 過度な食塩
- たんぱく質の摂りすぎ
- カフェイン
- リン(たんぱく質性の食材や加工食品)
- アルコール
- 喫煙
これらは腸からのカルシウム吸収を邪魔したり、体外への排出を促進したりしてしまうので、なるべく控えるようにしましょう。
まとめ|腸活で骨粗鬆症になりにくい体の土台を作る
骨を強くして骨粗鬆症を防ぐためには、カルシウムのほかにもビタミンDやビタミンKをバランスよく摂ることが大切です。
加えて、腸内環境を整えてカルシウムの吸収効率を上げることも重要です。自分の健康のためにはもちろん、家族のご飯でも腸活を意識したメニュー作りや、カルシウムを豊富に含む小魚や乳製品などを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
引用
*1: 森川 香子(2020)女性医学からみた骨粗鬆症、日本転倒予防学会誌、7(1)、17-20
*2:本田佳子、土江節子、曽根博仁(2016)栄養科学イラストレイテッド臨床栄養学 疾患別編、羊土社
*3:佐久間 慶子(2002)フラクトオリゴ糖によるカルシウム吸収促進作用の分子生物学的メカニズム、腸内細菌学雑誌、16、11-19