風邪やインフルエンザなどの病気から子どもを守るために、1年中頭を悩ませてはいませんか? 風邪を引きにくい丈夫な体になって欲しいと、食生活には気を遣っているものの、何か物足りなさを感じてしまいますよね。
実は、子どもが風邪を引きにくい体をつくるには、食事で栄養素を補う内側からのアプローチだけでなく、外側からのアプローチも重要。子どものうちから外の環境の菌に触れさせることも、子どもの免疫機能を向上させるために大切なことだとわかってきました。
そこで本記事では、子どもの外遊びと風邪に負けない身体作りの関係について菌活ご紹介します。最後まで読んで、ぜひ参考にしてみてくださいね。
子どもの腸内細菌は長い人生の出発点
大人の腸内環境の重要性はよく聞きますが、実は子どもの腸内環境も重要です。腸内に住んでいる細菌には、風邪やウイルスなどの外敵から身を守るための、免疫機能が備わっています。
腸内の免疫機能は、腸内環境のバランスがいいほど安定し健康的な体が保たれます。しかし、人の腸内環境は2〜6歳までに決まり、定着するとなかなか変化しません。そのため、子どものうちから腸内環境にいい暮らしを心がけることが重要です。
腸内環境を整えるには、腸内細菌の多様性を意識した「腸活」が話題になっていますが、子どもは腸活だけでなく、自然環境やその中にいる菌と触れることも大切だとわかってきました。
子どもの外遊びが重要?【研究結果】
フィンランドでは、自然環境と子どもの免疫機能の関係を調べるために、75人の保育園児を対象に実験を行いました。(*1)
【実験条件】
・介入群…都市寄りの保育園に緑を増やす(4ヶ所)
・対照群…都市部の標準的な保育所(3ヶ所)
・コントロール…自然豊かな保育園(3ヶ所)
子どもたちは28日間、1日のうち平均90分を外で過ごすようにしました。
その結果、介入群の子どもたちは、自然豊かな保育園に通う子どもたちと同じように皮膚常在菌の多様性が高くなったことが確認されました。
一方、都市部の標準的な保育所に通う子どもたちは、皮膚常在菌の多様性が全体的に低下していました。
つまり、外の自然環境に触れることは、子どもの皮膚常在菌の多様性を高め、免疫機能の向上にも役立つ可能性があるのです。
自然環境で菌と子どもを触れさせあう
外遊びは皮膚常在菌の多様性を高めるだけでなく、幸福感をもたらし子どもの運動量を増加させる効果も期待できます。
外遊びで日光を浴びることで、ビタミンDを活性化させ、セロトニンの産生も促します。ビタミンDは、歯や骨を強くするほか、免疫機能を促進することでも知られています。
またセロトニンには、精神安定効果や幸福感をもたらす効果もあるため、子どもには欠かせない物質です。(*2)このように、外遊びで多様な植物や土に触れさせることは、子どもが風邪に負けない体づくりと、安定した精神面の成長に欠かせないでしょう。
まとめ | 子どもこそ、外遊びで菌と触れよう
昨今の感染症で、「免疫力」は大人から子どもまで関係なく重要視されるようになってきました。子どもは免疫機能が未熟なため、外の菌に触れさせることを不安に感じる方もいますが、実は子どものうちから外の自然環境に多く触れさせることが重要。
今回のフィンランドの研究結果をもとに考えると、外遊びを経験する子どもの免疫力は「自然に存在する菌」が関係していることは間違いなさそうです。
また外遊びによる生物多様性の介入は、免疫力の向上だけでなく、安定した精神面の成長にも欠かせないものといえます。
子どもの皮膚に存在する菌の多様性を上げるためにも、ぜひ積極的に外遊びでヘルシーな身体作りをしましょう!