監修者
広瀬歩美 | 管理栄養士、博士(医学)

千葉県出身。お茶の水女子大学卒業後管理栄養士国家試験合格。生活習慣病専門クリニック勤務を経て、2013年に筑波大学大学院にて博士(医学)を取得。私立大学にて「子どもの食と栄養」等の講義を担当する中で、自身も独学で保育士資格を取得した。論文や学会で成果発表する傍ら、市民講座や小中学校での講演会も多数行った。現在はフリーランスとして、商品開発や食堂メニューの監修、オンライン栄養指導などを行っている。

「子どもがご飯よりもおやつを食べたがる。」

「周りの子よりもぽっちゃりしているけど大丈夫かな…」

我が子には、将来も末長く健康でいてほしいので、太り過ぎは避けたいですよね。

とはいえ、子どもに対して「ダイエット」の意識を幼い頃から植え付けるのはあまりおすすめできません。それよりも、自分の体にあった正しい食生活を教えることの方が重要になります。

そして、子どもと一緒に食生活を正すのであれば、ぜひ腸活もあわせて取り組んでみましょう!

今回は、子どもの肥満予防・改善や食習慣の改善と腸活について、管理栄養士・保育士で2児のママが解説します。

腸活は食生活の改善だけでなく子どもの肥満対策にピッタリ!

実は腸に良いとされる生活習慣は、肥満の予防や改善にも役立ちます。

私は親子で腸活を意識した食生活を実践していますが、子どもも私もお腹の調子がいつも良いのでご機嫌に過ごしています!子どもの体格も、太りすぎずスクスクと元気に育ってくれています。

食物繊維を摂る|たくさんの野菜・果物・海藻・豆類を食べよう

子どもは肥満度が高くなるほど食物繊維の摂取量が少なくなる傾向にあるので、「幼児肥満ガイド」では、野菜や海藻類などをよく食べるよう勧められています(*1)。

食物繊維は、腸内細菌のエサになるので、腸活に欠かせない大切な栄養素であり、もちろん、便秘がちな子どもにもおすすめです。

同じく、腸活におすすめな上、肥満の子どもに不足しやすい食材に、豆類や果物類があります。

ご飯やヨーグルトにきな粉をかけたり、皮むきが不要/簡単な果物(バナナ、いちご、みかんなど)を朝食に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ごはんもおやつも、保育園の献立が一番参考になります。子どもが好きなメニューの作り方は、お迎え時に給食室に立ち寄ると、快く教えてもらえますよ🎵

しっかり噛む|一口30回以上噛みましょう

口は、食べ物が身体に取り込まれる一番最初の消化器官です。

しっかりと良く噛んで食べ物を細かくし、消化液である唾液と絡めて胃腸に送ることで、消化がスムーズになり、栄養がよく吸収されるようになります。

マウスを使った研究では、咀嚼回数が少ないことで腸内環境が悪化したという結果も。

>>噛む回数を増やそう!咀嚼は腸内環境に良い影響を与える【研究結果】

早食いはそれ自体が有名な肥満のリスク要因です。さらに子どもの場合は、よく噛むことで過食が予防できるだけでなく、顎の発達を通して歯並びを良くする、脳が活性化する、集中力を高めるなどの利点も。

まさによく噛むことは、良いことづくめです。

子どもは柔らかいものを好みます。食材を少し大きめ・固めにしたり、よく噛む「根菜類」「海藻類」を取り入れてみたりするといいでしょう。

生活リズムを整える

「早寝早起き」

「朝ごはんをしっかり食べる」

「運動する」

など、生活リズムが整うと排便のリズムも整うため、腸活にはとても大切です。

これは肥満の予防・改善でも全く同じことが言えます。

早く起きると朝ごはんをゆっくり食べる時間が取れ、体をたくさん動かせると疲れて早く眠りやすくなります。

生活の場面はそれぞれが連動しているので、「10分早く起きてみる」「夕方10分散歩してみる」など、ちょっと頑張ればできそうなことから初めてみるのがおすすめです。

朝ごはん準備のコツは、こちらの記事で紹介しています。

>>子どもの朝食は成長の鍵!【忙しい朝でも無理なく準備できる朝食のポイントも管理栄養士が解説します】

もっとある!子どもの肥満を予防・改善するには?

お子さんが肥満かな?と思った時、まずは母子手帳に掲載されている成長曲線を確認しましょう(*1)。

体重が多めであっても身長とのバランスを見ると問題がないこともありますし、成長曲線に沿うような増え方ならばあまり心配はいりません。

その上で、やはり少し太り気味であった場合、「身長の伸びを期待して、体重の増加をゆるやかにする」というのが鉄則。子どもの体重を減らすことはしません。

そのために、ついついやってしまうちょっとした習慣を見直してみましょう。

おやつをしつけに使わない

幼児と小学生を育てている私自身にも耳が痛いことですが、しつけの手段としてのおやつ(お菓子)の使い方に気を配りましょう。

「外出中に大人しくさせるために食べさせる」「「〇〇したら食べていいよ」と駆け引きとしてのお菓子を使う」などは、おやつの食べ方としてあまり望ましくありません(*1)。

大人しくしないといけない場面では本や折り紙などを持ち歩く、駆け引きにお菓子を使う際は「(今ではなく)おやつの時間に〇〇を食べてもいいよ」にする、など、おやつは時間と量を決めて食べられるようにしましょう。

すでに時間を決めずにお菓子を食べることが習慣になっているお子さんの場合、最初は大変かもしれません。まずは、カロリーの低いゼリー、ビタミンがとれる果物やたんぱく質もとれる魚肉ソーセージなど、内容を見直してみてはいかがでしょうか。

楽しく食べる環境づくり

毎回の食事を楽しく食べられる環境に整えることも、実は肥満予防には重要です。

良い姿勢で食事が取れるように、足が床につくように椅子や机の高さを調整し、なるべく大人も一緒に食べましょう(*)。

バタバタする平日の朝や夕食時、「子どもだけ食べさせて親は家事」は意外とやりがちですよね。

子どもは親と一緒に食べることで、心が満たされ、食べ方やマナーも学びます。

野菜など嫌いな物も、親が食べている姿を見て食べられるようになることも。毎回は難しくても、ちょっと頭の片隅に置いてみてくださいね。

腸活×楽しく食べて、すこやかに成長しよう!

「太っているからおやつを控えようね」は子どもだって傷つきますし、お友達にも同じように言ってしまうリスクもあります。

ダイエットではなく腸活として、「お野菜をよく噛んでたくさん食べると、お腹が元気になるんだよ」というポジティブな声かけをして、子どもの健やかな成長を育んでいきましょう!

参考・引用

*1: 日本小児医療保健協議会 栄養委員会 小児肥満小委員会.幼児肥満ガイド