「腸」と聞くと、食べ物の消化・吸収をするイメージをお持ちではないですか?
実は腸が担う役割はそれだけではありません。腸や、腸の中にいる腸内細菌の働きは多岐にわたるため、私たちが健康的に生活するためには腸をいたわることが大切です。
そこで今回は、腸の働きについて詳しく知りたい方へ向けて、腸の基本的な知識(構造・働き)をお届けします!
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腸の基本:どんな構造?
腸の構造は、大きく「小腸(空腸、回腸)」と「大腸(結腸、S状結腸)」に分けられます。
まず、胃で消化された食べ物は「十二指腸」を通じて小腸に送られます。小腸の長さは成人で6~7mほどで、胃で消化された食べ物の栄養を吸収しています。小腸の内側はヒダ状(表面積を大きくしている)になっており、効率よく栄養を取り込めるような仕組みになっています。
大腸の長さは1.5~2mほどで、便を作るためにドロドロになった食べ物の水分の吸収や、便を肛門へと運ぶ役割をもっています。
腸は運動をしている
腸は食べたものを消化・吸収して便として排出するために、3つの「運動」をしています。(*1)
①分節運動
「分節運動」とは小腸がいくつかの分節(ポケットのようなもの)にわかれる動きで、腸の中にある食べ物を混ぜ合わせて、消化・吸収しやすくします。
②振り子運動
「振り子運動」とは腸の長さと太さを変化させる運動で、この動きによって腸の中身が混ざりつつ小腸から大腸へ進みます。
③蠕動運動
「蠕動運動」によって腸の入口が狭まり、肛門側が広がることで腸の中身(うんちとなるもの)を肛門へと運びます。
腸の働き(役割)
主に食べ物の消化・吸収を担うイメージが強い腸ですが、その他にも重要な役割を持っているのです。ここでは、腸の働きを4つご紹介します。
①食べ物の消化、栄養素の吸収
腸の基本となる役割。腸をはじめとした消化器官と呼ばれる部位は、食事の消化と栄養素の吸収を行います。実は、栄養素のほとんどは小腸で吸収されています。
②水分の吸収、便の排泄
大腸では、ドロドロした腸の中身をうんちにするために、水分の吸収が行われています。そして、適度なかたさになったうんちを先ほどあげた運動によって肛門へと運びます。
③からだを外敵からを守る(免疫・防御機構)
腸にはからだの免疫細胞の約7割が存在しています。
実際に「IgA」と呼ばれる抗体(からだに侵入した異物を除去する物質)は、外敵に対するバリア機能や腸の「抗炎症機能」によってアレルギーといった「免疫の暴走状態」を抑える役割をもちます。
④脳と腸がつながり、からだの調子を整える
腸は脳とつながっていることから、腸は「第二の脳」と呼ばれています。例えば、ストレスを感じる時(会議中やテスト前)にお腹が痛くなるなどは、腸と脳がつながっている「脳腸相関」によるものだと考えられています。(*2)
腸と消化・吸収
腸では、食べ物の消化と栄養素の吸収作業が行われています。
そもそも「消化」とは、私たちが食事から取り入れたものを体に取りれやすいように小さく(低分子)していくことをさします。まず腸をはじめとした消化器官で「消化」されることで、栄養素は吸収され、エネルギー源や体を作る材料として利用されます。
また、より消化・吸収しやすくするために、よく噛んで食事をすることも大切です。咀嚼回数が少ないという方は、10〜20回以上を目指してみましょう。
まとめ | 腸はわたしたちの健康の土台
腸(小腸と大腸)は、主に食べたものの消化・吸収、うんちを作り体の外へ出す、免疫や脳に関わるなど、その働きは多岐に渡ります。
また腸が「第二の脳」と呼ばれる理由は、神経を介して脳とつながっていることや、腸の状態がその神経に影響を与えるためです。
食事から栄養素の消化吸収や免疫力、脳とのつながりなど、腸や腸内環境はわたしたちの健康に大きな影響を与えています。しっかりと腸の機能について理解し、より効果的に腸活に取り組みましょう!
引用
*1:管理栄養士を目指す学生のための解剖生理学テキスト | 文光堂