最近、よく眠れていますか?

「ちゃんと寝ているはずなのに、なぜか目覚めが悪い」

「疲れも取れない…」

と、日常的に感じる睡眠不足や倦怠感にモヤモヤしている方も多いはず。

実は、現代人の5人に1人が睡眠トラブルを抱えていると言われています。

睡眠の質の低さは、日々のパフォーマンスにも関係してきますよね。実はその睡眠の質、腸内環境が大きく関係しているのです!

そこで今回は、睡眠の質と腸内環境の関係について解説します。睡眠の質を向上させる腸活の実践方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

睡眠の質とは?どうやって測るの?

そもそも睡眠の質は何でわかる?

「睡眠の質の向上」とよくCMや広告などで聞きますが、そもそも睡眠の質とは何?と思う方は少なくありません。

National Sleep Foundation(NSF)によると(*1)、以下の4つの指標で睡眠の質を測定できるようです。

 ①睡眠潜時(Sleep latency):睡眠潜時とは、消灯あるいは就寝時刻から睡眠開始までの時間のことです。この眠りに落ちるまでの時間を測定する方法で、就寝後30分以内に眠りにつけるようであれば良好であると考えられます。

 ②睡眠覚醒(Sleep waking):覚醒とは、目覚めている状態のこと。夜中に何回目が覚めるかを測定します。夜中に何回も目が覚めてしまうと、睡眠サイクルが乱れ、睡眠の質が低下する原因に。一度だけ、あるいは全く目が覚めない場合は、睡眠の質がいいことを示唆しています。

 ③覚醒度(Wakefulness):「睡眠覚醒」は、何回目が覚めたかを測定していましたが、「覚醒度」は、何分間起きていたかを測定する方法です。睡眠の質がいい人は、夜間の覚醒時間が20分以下と言われています。

 ④睡眠効率(Sleep efficiency):睡眠効果率とは、実際にベッドで眠っている時間の長さのことで「実際の睡眠時間÷ベッドにいた時間×100」(%)で求められます。この測定値が85%以上であることが、最適な健康効果を得るための理想的な条件です。

上記4つの指標からもわかるように、睡眠の質は入眠や睡眠中の覚醒、睡眠時間などを考慮して考えられています。

睡眠の質が下がってしまう原因は?

睡眠の質が下がってしまう原因は?

睡眠の質が下がってしまう原因はさまざまですが、主に「カフェイン」「ブルーライト」「メラトニンの分泌不足」の3つが挙げられます。

①カフェイン:コーヒーや緑茶に含まれているカフェインは、睡眠の質を低下させる原因の1つです。カフェインは、入眠に必要となる副交感神経を刺激するため、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりしてしまいます。そのため、カフェインを摂取する時間帯には十分に注意しましょう。

②ブルーライト:スマートフォンやテレビ、パソコンなどのブルーライトも睡眠の質を下げる原因の1つ。ブルーライトを浴びると脳が「昼だ!」と勘違いしてしまい、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌量が減ってしまいます。そのため就寝前は、スマホやパソコンなどのブルーライトを発する電気機器の使用を控えるようにしましょう。

③メラトニンの分泌不足:メラトニンとは、脳の中心にある「松果体」から分泌される睡眠ホルモンのこと。体内時計と太陽や電球、パソコンの液晶画面などの光からメラトニンの調節を受けています。メラトニンの分泌量が減ってしまうと、うまく入眠できず睡眠の質が低下してしまいます。(*2)

睡眠の質と腸が関係する理由

睡眠の質と腸の関係は深い!

睡眠の質の向上には「メラトニン」と呼ばれる、睡眠ホルモンの分泌が不可欠です。メラトニンを生成するには「トリプトファン」というアミノ酸の一種が必要です。

このトリプトファンは、腸内細菌がタンパク質豊富な食材を分解することで生成します。

朝、日光を浴びるとトリプトファンはセロトニンに変換され、夜になるにつれてセロトニンはメラトニンへと変換されていきます。このメラトニンは睡眠ホルモンであるため、分泌量が増えることによって、睡眠へと導かれるのです。

睡眠に関するホルモン分泌において、腸は重要な役割を担っています。そのため、睡眠の質を高めるためには腸をケアすることも重要です。

メラトニンで睡眠の質を上げる!

メラトニンで睡眠の質を上げる!

ある研究では、寝る前にメラトニンを2mg摂取したところ、翌日の睡眠の質とエネルギーが向上し、より早く眠りにつくことができることが示唆されました。(*3)

また別の研究では、メラトニン摂取(2mg)グループの半数がより早く眠りに落ち、睡眠の質が15%改善されたそうです。(*4)

このように、睡眠の質の向上にはメラトニンの存在が重要であることが研究結果で明らかにされてきました。

睡眠の質を上げるための腸活とは?

睡眠の質を上げるための腸活とは?

睡眠に必要なメラトニンの生成を盛んに行うためには「腸内細菌の多様性」が重要。腸内細菌の種類が豊富であること、バランスのいい腸内フローラであるほど、メラトニンの生成も盛んになります。

そんな「腸内細菌の多様性」を高めるためにポイントとなるのは「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」です。

■プロバイオティクス:「腸内フローラのバランスを改善することで、人の健康に好影響を与える微生物」のこと。納豆・キムチ・ヨーグルトなどの発酵食品に多く見られる。

■プレバイオティクス:「腸内の有用な細菌のエサとなる食品成分」のこと。穀物・海藻・きのこなどに含まれる食物繊維や、玉ねぎ・ハチミツ・アスパラガスなどに含まれるオリゴ糖からの摂取が可能。

この「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」は、組み合わせて食べることを心がけましょう。

「腸内細菌の多様性」を意識するためには、多様な菌を多様なエサで育てることが重要です。毎日の食事で意識することで、腸内環境が整い、睡眠の質の向上にもつながります。

参考:腸内細菌の多様性は日々の食事から!おすすめの最強食材を解説します

また、カフェインを摂取する時間帯にも注意。時間帯によっては、脳を興奮状態にしてしまい、睡眠の質が下がってしまいます。カフェインは、夕方に摂りすぎないように注意しましょう

普段の生活を見直して睡眠の質を高めよう!

普段の生活を見直して便秘を解決しよう!

睡眠の質を高めるためには、腸内環境を整えること、メラトニンを十分作り出すための土台づくりが大切です。

「たくさん寝ているのに疲れが取れない…」

「日中眠すぎて仕事にならない…」

「布団の中に入ってもしばらく眠れない…」

という人ほど、腸内環境を整えて、トリプトファン→セロトニン→メラトニンのサイクルをしっかり回しましょう。

睡眠は生活の質(QOL)にも関わるもの、いつもの睡眠を見直して、ヘルシーな暮らしを目指しませんか?

引用

*1:What Is Sleep Quality? | National Sleep Foundation

*2:メラトニン | e-ヘルスネット

*3:Lemoine, P., Nir, T., Laudon, M. and Zisapel, N. (2007) Prolonged-release melatonin improves sleep quality and morning alertness in insomnia patients aged 55 years and older and has no withdrawal effects. J. Sleep Res., 16(4):372-80. doi: 10.1111/j.1365-2869.2007.00613.x. 

*4:Luthringer, R., Muzet, M., Zisapel, N. and Staner, L. (2009) The effect of prolonged-release melatonin on sleep measures and psychomotor performance in elderly patients with insomnia. Int. Clin. Psychopharmacol., 24(5):239-49. doi: 10.1097/YIC.0b013e32832e9b08.