健康意識が高まり、腸活という言葉も普及していく中、「腸内環境」という言葉はすでにご存知だと思います。
そんな腸内環境ですが、加齢に伴い肌や髪の毛などにしわや乾燥が見られるのと同じように、加齢によって腸内環境も変化していくことがわかってきました。
腸内環境は年齢によって変わる?
赤ちゃんと高齢者ではだいぶ違う!
ある研究で、日本国内の0歳から104歳までの計367名に対し、腸内細菌の解析を行いました。その結果、腸内細菌群の傾向は個人差よりも年齢と関連があることがわかりました(*1)。
特に、抗炎症作用などをもつビフィズス菌は加齢に伴い減少傾向にあり、これが老化現象(体の不調、疲労、疾患など)を引き起こす原因と考えられます。
このような加齢による腸内環境の変化の要因のひとつは、ライフスタイルや食事内容をはじめとした生活習慣の変化が原因なのかもしれません。
年齢とビフィズス菌
健康に良い影響を与えてくれる腸内細菌の代表格に“ビフィズス菌”があります。
一般的に、ビフィズス菌は生まれて間もない頃にもっとも多く、年齢を重ねると減少する傾向にあります。
このように、年齢を重ねることで腸内細菌は変化をしていますが、その原因は一体何でしょうか?
なぜ年齢によって腸内細菌叢が変化する?
生まれてすぐから高齢になるに連れて腸内細菌叢が変化する要因には、食事や生活習慣の変化が深く関係しています。
食事内容の変化
乳幼児など幼少期の食事は、家庭での食事がほとんどです。しかし、大人になっていくにつれて外食やコンビニで済ます機会も増え、栄養バランスが偏りやすくなってしまいます。
さらに高齢になると、加齢による食欲不振で食事量が減り、食物繊維など腸の多様性に重要な栄養素の摂取量も減少してしまいます。
参考:腸活には多様性が必須!? さまざまな菌を摂り入れて腸内環境を整えよう!
腸内細菌は大腸に届いた栄養素をエネルギーとしているため、大腸に届くエネルギーが減ることで腸内環境も変化していくと考えられます。
生活習慣(お酒・喫煙・運動習慣)
加齢に伴う生活習慣の変化も、腸内環境に大きな影響を与えます。
例えば大人になり飲酒や喫煙の機会が増えると、腸に悪影響を与えてしまいます。
また仕事によっては座り仕事などで運動量が減り、さらに高齢になると活動量が減ってしまうのも大きな原因です。
病気の治療(薬など)
成人期〜高齢期になると、病気の治療の一環で薬を飲む機会が増えます。
その中でも、抗生物質は種類や投与量によっては腸内細菌叢のバランスが乱れる可能性も。また、一度腸内細菌叢のバランスが乱れてしまうと、しばらく続いてしまいます(*4)。
医療機関と相談する必要がありますが、腸内細菌叢のバランスを保つためには、抗生物質の使用を極力抑える、プロバイオティクスなどを含むサプリメントを併用するなどの工夫が必要です。
腸内環境を若く保つために食事・生活習慣を見直そう!
加齢に伴う腸内環境の変化は、生活習慣や食事を見直すことで変化のスピードを遅くすることはできます。
この機会に生活習慣や食事を見直して、腸内環境を若く保つような取り組みをしてみましょう。
引用
*3:鈴木邦夫(1989)老化と腸内フローラ、ビフィズス、3(1)、9-27
*4:北本勝ひこ、春田伸、丸山潤一、後藤慶一、尾花望、齋藤勝晴(2018)食と微生物の辞典、朝倉書店