おにぎりや手巻き寿司、そばにのせる刻み海苔など、日本人にとって海苔はとても身近な食べ物ですよね。そんな海苔ですが、実は体内で分解できるのは日本人だけだということを知っていますか？

2010年に行われたフランスの研究によると、ヒトの腸内にいる「バクテロイデス・プレビウス」という腸内細菌が海苔を分解する酵素を持っていることが明らかになりました。そして面白いことに、この酵素は日本人の腸内に住むバクテロイデス・プレビウスからしか発見されなかったのです。（*1,2）

それでは、なぜ日本人だけがそんな特殊な腸内細菌を持っているのでしょうか？

その理由には、日本人の古くから生で海苔を食べる習慣が関係しています。

海苔と一緒に海苔を分解する海洋性細菌を摂取することで、元々いた腸内細菌が海苔の分解能力（分解遺伝子）を受け継いだのではないかとだと考えられています。

ただ、今では日本人だけでなく、生で海産物を食べる文化があるスペイン人の腸にも、海苔を分解する遺伝子を持つ腸内細菌がいることがわかっています。

海苔を食べる文化がある日本人やスペイン人の腸内細菌が海苔を分解できるように、食文化は腸内フローラをつくる上でとても重要です。お米や海苔、豆類の消費量は減りつつありますが、その土地の作物をいただく上でも、食文化を守って受け継いでいきたいですね。

Reference : 
*1：Hehemann, J.H., Correc, G., Barbeyron, T. et al. (2010) Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota. Nature, 464, 908–912.
*2：Rebuffet, E,, Groisillier, A., Thompson, A. et al. (2011) Discovery and structural characterization of a novel glycosidase family of marine origin. Environ. Microbiol., 13(5), 1253-70.