・2023年5月8日(月)開催
・タイトル:「コミュニケーションにこだわることが、最大の体調管理である」常にご機嫌であり続けるための体調管理術とは?
・登壇:佐藤ゆきこ氏(株式会社R 代表取締役)、鈴木啓太(AuB株式会社 代表取締役)

近年、色んな形で「コミュニケーション」が注目されていますが、そんなコミュニケーションにこだわることがいつもご機嫌な状態を作り出す体調管理のひとつであるということを知っていますか?今回は、英会話スクール「Aitem」を運営されている株式会社R代表 佐藤ゆきこさんをゲストにお迎えして、コミュニケーションと体調管理についてのウェビナーを開催しました。その様子をお届けいたします。(当日の様子は参加者限定でアーカイブ配信しております。)

わたしがいつもご機嫌でいる理由・・・

鈴木:ゆきこさんっていつもご機嫌ですよね?

佐藤:よく言われますね!自分ではそんなことない気がしますが…もちろんご機嫌じゃないときもありますが、すごく切り替えが早いほうだと思います。

鈴木:切り替えが早い?

佐藤:はい、あまり引きずらないというか、ネガティブである時間が短いですね。

鈴木:そうなんですね…僕はゆきこさんとお話していると、常にご機嫌に見えます。

佐藤:本当ですか?ありがとうございます!

鈴木:そんなゆきこさんがなぜいつもご機嫌なのかというところで、体調管理やコミュニケーションなど3つのテーマでお話お聞きしていければと思います。よろしくお願いします!

テーマ①経営者として心掛けている「食事」「睡眠」「運動」面の工夫


鈴木:今は経営者として活躍されているゆきこさんですが、以前は企業勤だった時期もあるんですよね?

佐藤:はい、むしろ企業勤めの方が長いです。起業したのは2017年、それまではずっと企業で働いていました。

鈴木:なるほど、企業勤め時代と経営者になってからとで、生活習慣に違いってありますか?

佐藤:全く変わりましたね。会社員時代の健康管理は主に「身体=フィジカル」について。経営者になってからは健康管理=「脳」について、になりました。経営者にとって一番の仕事道具は「脳」じゃないですか?それを痛感してからは、脳について勉強するようになりました。脳内物質やホルモンによって体調も変わってくる。なので、枕のような日常で使うアイテムにもこだわるようになりました。

鈴木:面白い。企業勤めの時は、脳に対してあまり気にしていませんでしたか?

佐藤:そうですね、どちらかというと体の疲れを実感することの方が多くて。しかも、自分が決断しなくても事業は進むじゃないですか。でも経営者になると、自分の決断次第で全員の動きも変わってしまう。そういうことを考えると、脳を使っている”時間と質量”は体感的に全然違いますね。

鈴木:その点でいうと、我々は腸内細菌について日々触れていますが、腸脳相関という言葉もある通り、腸と脳は繋がっているので、腸を整えていただくのもいいんじゃないかなと思います。でも、ゆきこんはすでに腸活についてもお詳しいですもんね。

佐藤:そうですね、割と意識するようにしていて。それこそ腹巻きをしていますし。

鈴木:さすがです…ちょっとその体の部分での体調管理方法を教えてください。

佐藤:食事で言うと、平日はささみ、野菜、お豆腐、少しの玄米、くらいしか食べません。会食・外食の時は気にしないで食べますし、お酒も飲みますが、平日は脂質の多いものを食べないようにしています。グルテンも避けていますね。

鈴木:それはどうしてですか?

佐藤:やっぱり「食べすぎない」という点でいうと腸活意識もありますし、とにかく体調が全然違うんです。ちなみに、もともと私はアレルギー体質で、アレルギーについて調べていくうちに腸活に辿り着きました。乳製品や小麦を減らしていくと、花粉症も軽減されて。あとは、遅延型アレルギー検査もしていて、即時型アレルギー(一般的なアレルギー検査)では引っかからない食材もアレルギーとして反応が出ていたので、そういった検査結果を見ながら摂る食材・避ける食材を気にするようになりました。その結果、野菜メインでお豆腐・ささみを食べる、みたいな食生活になっていきましたね。

鈴木:なるほど、食物繊維を野菜で摂り、脂質の低いお豆腐やささみでたんぱく質を摂る。そういった取り組みが、自身の体感として良いんですね。さすがゆきこさん、アスリートみたいなセンサーを持っていますね!

佐藤:経営者ってアスリートだと思うんです。毎日の仕事道具(体)のためにも、体調管理は徹底するんです。ちなみに、私の親が栄養士だったということもあり、それなりに栄養について知っているんですよね。

鈴木:素晴らしい…ちなみに経営者になる前の食事ってどうだったんですか?

佐藤:いや、全然よくない食生活だったと思います(笑)もともと脂っこいものはそこまで好きではなく、お豆腐や納豆、野菜が好きではありましたが「科学的・理論的に考えてこの食事をしよう!」って意識したことはありませんでした。あと一番変わったこととして、会社員時代「ビタミンが一番大切!」って思っていましたが、今は「ビタミンって意外と摂れてるけど、たんぱく質があんまり食べれてないな…」と気づきましたね。会社員時代にたんぱく質を摂ろうと意識したことは全くなかったです。

鈴木:実は、腸内環境を整えるために食物繊維や菌を摂ると、一部の腸内細菌がビタミンを作ってくれるんです。もちろん食材から摂る必要もありますが、腸活するとビタミンを補えるんです。

(腸内細菌が産生するビタミン:ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12)、ビタミンK)

でもあれですね、やっぱり起業すると体のことより気遣うようになるんですね。

佐藤:私、起業してすぐの1年目で2回くらい倒れたことがあるんです。その時に、自分の限界を知って、気力だけでなんとかなるものではないんだと思い知りました。倒れた原因も、脳が限界まで動きすぎ、神経も働きすぎ。照明だけでも吐いてしまったり、耳鳴りがしたり、動けなくなりました。これが一番迷惑をかけるんだ…ということを痛感して、ちゃんと自分の体調と向き合うようになりましたね。

鈴木:え、そうだったんですね…ゆきこさん、実はすごく繊細なんですね。

佐藤:そうです、繊細だと思います(笑)自分が繊細で、感受性・共感力に活きているとは思いつつ、一部コンプレックスでもあるんです。相手のことがわかりすぎて、逆にしんどくなるというか。

鈴木:先日お茶していた時も、僕のことを丸裸にしましたもんね。

佐藤:(笑)無意識なんですけど、その人に憑依できるというか、相手がどんな人で何を考えているのか察することができるんです。メリットでありつつ、いろんな人のいろんな感情が自分の中に入ってくるので、疲れてしまう。繊細って良いことと思いつつ、時には鈍感力も必要だなと感じます。そんな自分のバランスを取るために、食事・運動・睡眠に気をつけ始めましたね。

鈴木:体は嘘をつけない。なので、疲労を感じる時やなんとなく体調が不安定だと感じる時に、「自分自身を正当に評価する」ことをやらないといけないと思います。もし、経営者じゃなくとも、働いている方々がパフォーマンスを出すためには、絶対的に体を整えたほうがいいですもんね。ちなみにゆきこさんは運動されていますか?

佐藤:運動は、YouTube観ながら15〜20分程度の筋トレを週に2回できればいい方、程度ですね。

鈴木:基本的に仕事をしていると時間が取れないという人も多いので、そんな感じになりますよね。運動って結局、誰かと約束してやるのが一番だと個人的には思います。僕はジムに行って、トレーナーと約束しています。1人だとなかなかできないんですよね…。あとは睡眠はどうでしょう?

佐藤:マストで7時間は絶対に寝たいと思っています。7時間未満だった時は、次の日が少し不安になりますね。寝る時間帯はそんなに決めていなくて。1日の中でトータル7時間になるように調整しています。

鈴木:なるほど。運動・睡眠とお聞きしましたが、腸内細菌の観点でいうと、運動はしたほうがやっぱりいいです。酪酸菌と呼ばれる菌が増えて、短鎖脂肪酸を作り出してくれるんですが、全身に巡って私たちのコンディションを整えてくれます。睡眠は7時間取れていたらバッチリですね!!寝る時間帯に関しては、毎日同じ時間に寝るほうが体のリズムが整うのでいいですが、会食などもありますので可能な限りで大丈夫ですよ。

テーマ②日々ご機嫌で生きるためのライフハック

鈴木:早速なんですが、体調管理とコミュニケーションは関係していると思いますか?

佐藤:絶対関係していると思います。ご機嫌な状態ってどういうこと?って科学的にいうと、「セロトニン・ドーパミン・オキシトシン」と呼ばれる3つの脳内神経物質のバランスがいいこと。コミュニケーションや人と人とのふれあいがオキシトシンを分泌させるということを踏まえると、絶対に体調管理とコミュニケーションは関係していますね。

鈴木:体調が悪かったらそもそもご機嫌じゃないですよね。逆に、体調が良かったとしても、自分の大切な人と良い関係が築けていなかったら、ご機嫌じゃない。なので、体調管理と大切な人とのコミュニケーションが取れていたら、基本的にご機嫌なんだろうなと思うんです。このテーマは今日のメインテーマでありながら、すぐに答えは出ちゃいますよね(笑)

とはいえもう少し深掘りしたいのですが、ご機嫌なコミュニケーションってどういう状態なんでしょう。

佐藤:コミュニケーションの質で言えば、深く共感し合えた、とか。「共感・信頼・寄り添い」でオキシトシンが分泌されると言われるんですが、この三つが成り立っているときじゃないですかね。過去を振り返ってみてもそう思います。

そして、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンも出る順番が大切。健康や安心・安全でセロトニンが分泌されて(まさに土台)、その次にオキシトシン、そして、ドーパミンが出るのが理想です。つまり、自分の健康が土台であり、その次に人とのつながりがきて、成功や良い評価を受けるに繋がるんです。この説、すごい私はしっくりきていて。多分今の時代、みんなドーパミンを求めていると思うんです。だから、SNSでも自己顕示欲出してアピールすると思うんですけど、本当は、健康やつながりをまずは大事してほしい、そしてこれを次世代にちゃんと伝えていきたいと思っています。

鈴木:今の話はとても納得です。やっぱり、ドーパミンだけだと疲れちゃうんですよね。もちろん、僕が元々いたスポーツ界は「競争」なので、ドーパミン・ドーパミン・ドーパミン、な世界なんですよ。でも、それだけだと中毒性もあって終わりがない。セロトニン(健康)があって、オキシトシン(コミュニケーション)の土台が広ければ広いほど、ドーパミンをたくさん載せられるということを考えると、ドーパミンだけ膨らませるのはすごくしんどいですね。

人間の幸せは何か?を考えたときの方程式な気がしました。今日はこの話ですごくお腹いっぱいです(笑)

佐藤:私は会社でもチャリティーなどをやっているので「自分達がまずは持っていないと、余ったものしか分け合えないよね」とよく話しています。他者への貢献なども言われますが、まずは自分の体調管理や理解を深めないといけないと、社内で話しています。

テーマ③Aitemを運営して感じる体調管理の重要性。

鈴木:Aitemさんといえば、人生においてコミュニケーションの彩りを得たいとか、人生を楽しむ、つまり、幸せな方がユーザーとして利用されているというイメージがあるのですが、実際はどうなんでしょうか?

佐藤:何か頑張りたいけど何を頑張ればいいかわからない人や、次世代で日本が衰退する中で英語話せないと危ないという危機感を持つ人、子どもを持つ主婦の方、仕事で英語を使うからと再チャレンジしたいという30代、趣味の延長…いろんな方がいらっしゃいますよ。

鈴木:そうなんですね。その方々の共通しているところってありますか?

佐藤:そうですね…私、授業もセロトニン・オキシトシン・ドーパミンを意識して作っているんですよ。発言の安心・安全でセロトニン、レッスンの中でメンバー同士のつながりを感じれる点でオキシトシン、今日はこの単語を覚えたとか、成功体験を設計することによるドーパミン。幸せホルモンがバランス良く出るようなカリキュラムにしているので、幸せになりたいけどなりきれていないという人が、Aitemで整って、卒業していくっていうイメージを勝手に持っています。実際、受講生の方のインタビューを読むと、物事の見方が変わったとか、自分に自信を持てるようになった、みたいな声もありますね。割とモヤモヤしている人が何かから脱却するために受講されるんだと思います。

鈴木:なるほど。そういう自分の殻を破って一歩外へ踏み出すのって結構勇気がいるじゃないですか。例えば、自分を変えたいと思っている人からしてみると、英語が喋れないことって居心地が悪いと思うんですよ。でも逆にいうと、今までの自分とは違う場所にいる。今までの自分がいる場所は居心地がいいからいつまで経っても成長しない。その一歩踏み出す勇気はどうしたら湧くんですかね。

佐藤:うーん…自分が英語を喋れないことに対する劣等感をなくしてもらうために、ヒアリングや作業に時間をかけるようにしています。英語が話せることのメリットは、日本人の多くが知っている中で、怖い、不安という部分も大きい。私自身もそうだったので、そこを取り除くためにできることをやりますね。喋れない自分がこんなに肯定してもらえる、みたいな成功体験を作るのは他にはない取り組みだと思っています。

鈴木:Aitemさんの従業員の方はどんな人が多いんですか?

佐藤:それこそ、HAPPYな人が多いとおもます。いつも機嫌よくて、機嫌悪いという人はいないですね。あとは体調管理もちゃんとしてて。体調管理ってスキルだと思うので、そこもしっかりみんなに取り組んでもらうようにしています。

鈴木:基本的には体調を整えたほうがなんでも上手くいきますもんね。社内へ伝えるのもそうですが、ゆきこさん自身が体現されているように感じます。

佐藤:そうですね…!もちろん私も人間なので、機嫌が悪い時もありますけど、周りと比べて相対的に評価すると、いつもご機嫌だと思います。

鈴木:そうだと僕も思います。今回はすごい勉強になりました、ありがとうございました!

まとめ|編集後記

体調管理として食事・睡眠・運動に取り組む人は多いですが、ほとんどの人が「コミュニケーション」での体調管理を意識したことはないのではないでしょうか?私自身も、普段のコミュニケーションが体調管理に繋がる??と、今回のセミナーを聞くまで不思議でした。

けれども、家庭内、仕事場、出先…人と人が触れ合う場所で起きる「コミュニケーション」も、ご機嫌であり続けるための体調管理のひとつである、ということを視覚的・科学的そして本質的に納得ができるセミナーでした。また、20名限定というクローズな場所での開催でしたが、参加された方からも、セミナー途中にも「初めて知りました!」「実践してみます!」などのコメントをいただき、最後のQ&Aタイムでもたくさんのご質問をいただきました。

また、ご登壇いただいた佐藤さんが経営される英会話スクール「Aitem」の様子を見ても、言語は違えどコミュニケーションを通じてご機嫌になる環境作りをされていると感じます。

ご機嫌であり続けるためにも、私自身含め日常でやっている体調管理(食事・睡眠・運動)に加えて、ただコミュニケーションを取るだけでなくその質も意識してみようと思いました。