近年の生活スタイルは、2020年以降のコロナウイルスの影響も相まって、除菌や消毒がスタンダードになりつつあります。また、外出の機会は以前と比べて減少し、オンライン上でのコミュニケーションが増加するなどの新たな生活様式に変化しつつあります。

しかしながら、このような過剰な除菌や人・モノとの触れ合いの減少は、子どもたちの生育環境にとって良くない影響をもたらすことがわかっています。

アイルランドで行われた研究によると、COVID-19によるソーシャルディスタンスが乳児の腸内細菌叢を変化させ、アトピー性疾患のリスクと関連していることがわかりました。その理由として、子どもたちには適切な菌との接触が必要であるということがわかったのです。

また、コロナ禍で生まれた子どもの、生後1年時点でのビフィズス菌レベルを調べると、抗生物質の使用量が少ないことや母乳育児が関連していることもわかりました。

腸内でのビフィズス菌の割合は、生まれて間もない頃が最も高く、年齢を重ねると減少傾向になります。つまり、生後すぐにビフィズス菌をきちんと獲得して維持することが重要であり、育つ環境によって大きく左右されるのです。

参考:腸内環境は年齢とともに変化する?*食・生活習慣が鍵を握る

過度に除菌をしないことや、適度な外出、必要以上に抗生物質を使用しない、等で、子どもたちの菌と触れ合う機会を増やしましょう。

菌との触れ合うことで健康な腸内細菌叢を維持・健康的に成長するために、適度な除菌とバランスのとれた生活環境を整えることが大切です。

Reference : Korpela, K., Hurley, S., Ahearn-Ford, S. et al. (2023) Gut microbiome predicts atopic diseases in an infant cohort with reduced bacterial exposure due to social distancing, medRxiv, preprint.