監修者
広瀬歩美 | 管理栄養士、博士(医学)

千葉県出身。お茶の水女子大学卒業後管理栄養士国家試験合格。生活習慣病専門クリニック勤務を経て、2013年に筑波大学大学院にて博士(医学)を取得。私立大学にて「子どもの食と栄養」等の講義を担当する中で、自身も独学で保育士資格を取得した。論文や学会で成果発表する傍ら、市民講座や小中学校での講演会も多数行った。現在はフリーランスとして、商品開発や食堂メニューの監修、オンライン栄養指導などを行っている。

「うちの子、便秘になっちゃった。どうしよう。」

goodchoでは、大人から子どもまで腸活の大切さを発信する中で、たびたび便秘に関する情報にも触れてきました。

しかし、子どもの便秘はある日突然やってくる!

自分の体調の変化を、言葉ではまだ上手く伝えられない小さな子どもが便秘になったときの対応、悩みますよね。

そこで今回は、実際に我が子の便秘を経験したママ管理栄養士が、便秘に関する質問に答えます。

子どもの便秘を改善・予防できる食事は?

3歳になる子どもは便秘がちで、3〜4日に1回くらいしかうんちが出ません。
ヨーグルトを食べたり、運動・マッサージをしたりしていますがよくならず……どうしたらいいでしょうか?

うんちの頻度が少なかったり、痛みなどの苦痛があると心配ですよね。子どもの便秘は、早めに対処するほど治りやすいので、早めにかかりつけ医に相談しましょう。それとあわせて、ちょっと食事や生活を見直してみるのがおすすめです。

どんな状態が便秘なの?

子どもが便秘かどうかを判断するときの目安・基準は、ガイドラインで決められています。

■子どもにとっての便秘(ガイドラインより(*1))

便秘は、うんちの回数や量が減少(目安週に3回未満や5日以上うんちが出ない場合)

または、排便時に痛みを伴うなどのうんちが出にくい状態

そして子どもにとって生活に変化が起きた時、便秘が起こりやすくなります。

乳児:母乳→ミルクへの切り替え、離乳食の開始

幼児:トイレットトレーニング

学童:通学の開始や、学校での排泄の回避

うちの子の場合は、離乳食が始まった頃から大体4日に一度しかうんちが出なくなりました。体重も増え機嫌も良かったので、病院でも「心配しなくて大丈夫」と言われましたが、当時はとても悩みました。

参考:【うんちが毎日出ない…は便秘ではない!?】消化器内科専門の先生に便秘・下痢のリアルを教えてもらいました

便秘症は、まず薬などの力を借りてうんちを出してから、再び溜めないように予防するのが治療の基本です。食事療法としては、「水分」「プロバイオティクス」「食物繊維」が重要項目として挙げられています。

水分摂取のポイント

子どもは大人よりも寝汗なども含めて発汗量が多く、さらに自分で喉の渇きを訴えにくいという特徴があります。

そのため、お子さまには「お水飲もうね」と声かけをして、常にお水を飲んでもらうようにしましょう。慢性便秘症の子どもでは、水、もしくは牛乳以外の液体で、1日約1〜2リットルの水分摂取が推奨されています(*1)。

おすすめのタイミングは、起床後や食後、運動の前後など、活動の切り替わりなどです。

ポイントは「水」もしくは「お茶」です。意外と、飲み物は「牛乳」というお子さんも多いので、注意です!

プロバイオティクス摂取のポイント

子どもの慢性便秘症治療において、症例によってはプロバイオティクスが有効だと言われています(*1)。

また、発酵食品やサプリメントでプロバイオティクスをとる腸活は、便秘症だけでなく身体全体にとって好ましいこと。

たとえば、ヨーグルトはたんぱく質やカルシウムといった成長に欠かせない栄養素も摂取できますし、味噌汁なら発酵食品の味噌とともに色々な野菜を食べられます。

食物繊維摂取のポイント

野菜、海藻、果物、芋、豆類などに多く含まれる食物繊維も、便秘解消にはおすすめです。

水溶性食物繊維は腸内細菌を増やすエサとなるプレバイオティクス、不溶性食物繊維は水分を吸収して便量を増やす効果があります。

朝食やおやつに、果物やふかした芋などを食べてみてはいかがでしょうか。

最近は果物も高いですが、お菓子やジュースに使うお金を回すと考えれば、実は同じくらいになるかもしれませんよ!

参考:【子どもにおすすめの腸活食材】腸をケアして子どもの成長を支えよう

生活リズムを整えよう

朝、時間にゆとりをもって起き、水を飲み、朝食を食べ、ゆっくりトイレに行ってから登園(校)する……。

こんなリズムは理想ですが、現実は、「朝は起こさないと起きない」「起きてもダラダラ準備」「家庭内でのトイレ争いが起きる」など……一筋縄にはいきませんよね。

まず、朝起きるのがギリギリ、スッキリ起きられない場合は、睡眠時間が足りているかを見直してみましょう。

早寝早起きの習慣は、まず「10分早く起きる」ところから始めましょう。

朝の時間に少しゆとりができると、トイレにいけるようになるかもしれません。

うんちは朝するといいと言われているのは、朝にうんちが済んでいれば学校や園で行きたくなる可能性が低くなるため安心できることや、午後や夕方には用事が入りゆっくりトイレに行けない可能性があるからです。ここがクリアできるなら、夕方がうんちのタイミングでも全く問題ないですよ!

また、子どもが自分でうんち後の処理ができるようになると、うんちがいつ出たか把握しそびれたり、うんちを見る機会自体なくなってしまうことも。

子ども自身に自分のうんちを見る習慣をつけてもらい、時々「どんなうんち出た?」と確認すると安心ですよ。

参考:子どもの便秘には親子で一緒に腸活を*便秘の原因や解決方法は?

便秘の子どもにオリゴ糖を食べさせても大丈夫?

特定保健用食品(トクホ)マークがついているオリゴ糖、便秘の子どもに食べさせて大丈夫?

大丈夫です。むしろ、オリゴ糖を摂ることで便秘解消をサポートしてくれるので、おすすめです。

トクホは、科学的根拠を示すことで消費者庁に個別で認可された食品です。オリゴ糖も「腸内のビフィズス菌を適正に増やしておなかの調子を良好に保つ(*2)」として粉末やシロップなどの商品がさまざまあります。

これはあくまで食品なので、6カ月以降の赤ちゃんなら食べても大丈夫。

ただし、食べすぎるとお腹がゆるくなることもあるので、少量から、様子を見ながら与えましょう。

生後6カ月頃から便秘がちだった我が子、まさに改善の突破口は1歳頃から飲み始めたオリゴ糖でした。飲み始めてまもなく便秘解消となり、幸いその後はぶり返していませんが、小学生の今もお守りとしてオリゴ糖を飲む習慣は続いています。

参考:オリゴ糖の効果とは?腸内環境との関係とおすすめのとり方を解説

私は、子どもが「トイレに行きたいな」となったとき、オリゴ糖シロップを「うんちがよく出るおまじない」として、スプーン1杯分直接飲ませていました。

もちろんその時に飲んだオリゴ糖がすぐに効果を発揮するわけはありませんが、「オリゴ糖を飲んだから、きっと大丈夫」と子どもが自信を持ってトイレに行けるようになったのが良かったです。

そのうち、子どもが自ら「うんち出そうだから、オリゴ糖ちょうだい!」と言ってくれるようになりました。

小学生になると、さすがにスプーンからオリゴ糖だけ飲むのは甘すぎると感じたようで、「もうオリゴ糖がなくてもうんち出るから大丈夫」と飲まなくなりました。

そのため、今はヨーグルトなどに入れています。

オリゴ糖は、トクホの商品以外にも豆類やバナナにも含まれているので、組み合わせて食べるのもおすすめですよ!

便秘は早めに解消するのが親子ともハッピー

排泄のことは、親にとっても子にとってもデリケートであり、どうしても気になってしまいますよね。

大丈夫かな?と思ったら、早めにかかりつけ医や園の先生などに相談してください。

便秘解消の程度にかかわらず、腸活は身体にとっていいことばかり。ぜひ親子で腸活してみましょう♩

引用

*1: 日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児消化器機能研究会編集.小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン.診断と治療社

*2: 消費者庁.特定保健用食品制度の概要