「妊娠中の腸活について知りたい」
「腸内環境を整えて、健康な子どもを生みたい」
「妊娠中の便秘や下痢はお腹の中の子どもに影響するの？」
このようなお悩みや疑問をかかえていませんか？
近年よく見聞きするようになった「腸活」という言葉。体の変化を伴う妊娠中の女性にとっても「腸活」は重要であり、お母さんと子どもの健康に関わります。
そこで今回は、妊娠による腸内環境の変化と、妊娠中によく聞く「便秘や下痢」といったお腹の悩みについてお話いたします。
妊娠で腸内細菌のバランスが変化する？
腸内には1,000種類、100兆を超える腸内細菌が存在し、生まれてから年齢を重ねるごとにその腸内細菌叢（腸内フローラ）のバランスは変化します。これは、大人になるにつれて食事や生活習慣が変化するため。
そんな中で、健康的な生活を送るためには、腸内細菌の「多様性」を保つことが重要です。
さらに、女性にとって体の変化の大きいライフイベントである妊娠も、腸内フローラに影響を与える要因のひとつです。
妊娠により腸内細菌叢はどのように変化する？
腸内細菌のバランスを確認する指標に「F/B比」というものがあります。（*1）
このF/B比とは、大人の腸内細菌叢の代表格である「Firmicutes門」と「Bacteroidetes門」の2種類の比率のことで、妊娠中はF/B比が増加する傾向にあります。（*2）
F/B比が増加すると、体がエネルギーをため込もうとするため、体脂肪率の増加につながります。（*1）一般的に体脂肪率の増加は健康にとってよくないといわれますが、妊娠中の体にとっては必要。お腹の中の子どもが住みやすいからだへと変化している証拠です。
また、妊娠中はホルモンの変化や食事量などの変化により、健康な腸に必要な「腸内細菌の多様性」も低くなることがわかっています。
妊娠中のホルモン分泌の変化も腸内環境に影響する
妊娠期間中は、ホルモン分泌の様子が通常時とは異なります。
たとえば、妊娠初期に「ヒト絨毛性ゴナドトロピン（hCG）」と呼ばれるホルモンが胎盤から分泌されることで、つわりなどの原因になります。（*3）
妊娠中期になると、hCGの分泌は落ち着き「エストロゲン」や「プロゲステロン」といった女性ホルモンの分泌がさらに増加します。実は、このプロゲステロンの影響で、お腹の張りやガスだまり、便秘などの症状が起こりやすくなるのです。
妊娠中の食事の工夫は？
妊娠中は「悪阻（つわり）でご飯が食べられない……」という方も多いですよね。そんな時には、お腹の中の子どものためにも、食べられるもので栄養素を補いましょう。
悪阻（つわり）の時におすすめの食事
お米が食べられない方は、にんじんやかぼちゃ、さつまいものような根菜類をあっさり炊いたものがおすすめです。脂身の多いものが食べられない方は、脂身の少ない白身魚や豆腐などのタンパク質を摂りましょう。
レトルトのおかゆやスープ、ミックスナッツなど、いつでも食べられる常備食を準備しておくと便利です。サプリメントや、粉で溶かして飲むだけで栄養素を補給できるものを家に置いておくこともおすすめですよ。
妊婦さんの便秘対策もしっかり
妊娠中はホルモンの関係で便秘になりやすく、ストレスにもつながってしまいます。できるだけ食事の工夫で便秘対策をしましょう。
腸内環境を改善するためには、腸内細菌の「多様性」を保つことが大切です。妊娠中に低下しがちな腸内細菌の多様性を保つためには、食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れましょう。
時にはプロバイオティクス（腸内環境を良くする微生物）やプレバイオティクス（腸内細菌のエサとなる成分）のサプリメントに頼るのもおすすめです◎
まとめ | 腸内細菌叢は私たちの健康を守るもの
妊娠中は腸内細菌の多様性が一時的に低くなり、便秘や下痢といった症状を引き起こしやすくなります。また、腸内環境が悪くなることで、生まれてくる子どもの体質に影響することも（アレルギーやアトピー、肥満など）。
腸内環境を整えるには、腸内細菌の「多様性」が重要です。多様性を保つためにも、悪阻（つわり）で食欲がない場合は自分の食べやすい食材を探しつつ、いろんなものを食べるようにしましょう。
妊娠中の自分のからだと、これから生まれてくる子どもの健康を維持するために、腸活を意識した食事を取り入れてみてはいかがでしょうか？
参考：妊婦さんと腸活＊食物繊維が赤ちゃんの肥満やアレルギー予防になる？【研究結果】
