ストレスはどの世代にとっても良くなく、大人だけでなく子どもにとっても負担になるものです。特に子どもの場合は、何かストレスを感じていてもなかなか言葉で表すこともできないために、無意識に溜め込んでしまう可能性があります。

そして、子どものストレスが腸内環境にも悪影響を与える可能性が、最近わかってきました。

アメリカのある研究チームが報告したレビュー論文によると、幼少期のストレスが腸内細菌の組成をコントロールすることがわかりました(*)。特に、ストレスの少ない環境で育った子どもの腸内には、Bacteroides fragilisと呼ばれる腸の炎症を抑制する菌が豊富だったこと、ストレスによって腸内細菌の代謝産物にも負の影響をもたらすことがわかりました。さらには、腸内細菌の組成次第で、社会行動にも影響することが報告されています。

子どもたちにとってストレスが多い環境に置かれることは、腸内環境だけでなく、心身にも悪影響を与える可能性があります。もちろん、子どものストレスにはさまざまな種類があり、人間関係だけでなく環境や成長の過程で起こる心身の変化、社会的なストレスもあります。そんな時こそ、親や子どもと触れ合う大人がどのように対処するかが、とても大切です。

子どもの長い将来の健康を見据えて、小さな変化に気づいてあげるのが重要です。そして、併せて食事や運動、睡眠など生活習慣(あるいは腸内環境)を整えてあげることも、子どものストレスケアにつながるでしょう。

*Reference : Hantsoo, L. and Zemel, B.S. (2021) Stress gets into the belly: Early life stress and the gut microbiome. Behav. Brain Res., 414:113474