最近、しっかり眠れていますか?
「布団に入ってもなかなか眠れない…」
「夜中に何度も目が覚めてしまう…」
「朝起きても疲れが取れない…」
そんな睡眠の悩みを抱えている方は、実はとても多いんです。
実は、質の良い睡眠のカギを握っているのが「メラトニン」というホルモン。このメラトニンと上手に付き合うことで、あなたの眠りはきっと変わるはずです。
そこで今回は、メラトニンの基本から、日々の生活でできる分泌を整えるコツまで、わかりやすく解説します。今日から始められる簡単な方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
メラトニンって何?眠りと体内時計の深い関係

メラトニンは、私たちの脳の中心部にある「松果体」から分泌される、いわば「天然の睡眠薬」のようなホルモンです。 夜になると自然に分泌量が増え、「そろそろ眠る時間ですよ」と合図を送ってくれます。そして眠気を誘うだけでなく、毎日の体内時計を整える重要な役割も担っているんです。
メラトニンができるまでの流れ
メラトニンの作られ方は、実はとてもシンプル。食事から摂取したトリプトファン(アミノ酸)から日中にセロトニンが作られ、夜にメラトニンに変換されます。 つまり、日中の食事や活動が、夜の良質な睡眠の土台となっているんですね。
年齢とともに変化するメラトニン
しかし、メラトニンの分泌量は加齢とともに徐々に低下してしまいます。そのため年齢を重ねるにつれて「寝つきに時間がかかる」「夜中に何度も目が覚める」といった悩みが増えやすくなるのです(*1)。
光をコントロールして睡眠リズムを整えよう

メラトニンの分泌を左右する最大の要因、それが「光」です。朝と夜の光の使い分けを覚えるだけで、睡眠の質はぐっと向上します。
朝の光の浴び方がカギ
起床直後〜30分以内に屋外の自然光を浴びる
これが一番大切です。カーテンを開けるだけでは、実はもったいない!ベランダや玄関先でも構わないので、実際に屋外に出て自然光を浴びましょう。 数分間でも体内時計のリセット(同調)が進み、その日の夜のメラトニン分泌がスムーズになります。天気が悪い日でも、屋外の方が室内の照明よりもずっと明るいんですよ。
夜は「減光」を心がけて
就寝前の強い白色光や、スマホ・タブレットの画面を至近距離で見ることは、メラトニンの分泌を抑制してしまいます。
今日から始めたい夜の習慣
- 間接照明に切り替える(電球色・低照度がおすすめ)
- スマホやタブレットは顔から離して使い、画面の明るさを下げる
- ブルーライト低減モードを就寝2〜3時間前からオンに
- 枕元の照明は手元だけを照らす「スポット照明」に
食品・サプリは生活習慣の「上乗せ」として活用

まずは光のコントロールと就寝前の過ごし方が土台。そこに食品やサプリメントを“上乗せ”することで、より安定した睡眠サポートが期待できます
メラトニンを含むサプリメント
実は日本ではメラトニンは医薬品に相当するため、サプリメントとしての製造が認められていません。海外では配合が認められているため、個人輸入している方もいるようです。ただし、これらは医薬品ではないため、有効成分の量が少なかったり、表示されていない成分が含まれている可能性があるなどの問題点が指摘されています。
そのためまずは次に紹介する食品から摂り入れてみるのはいかがでしょう。
メラトニンを含む食品
- タルトチェリー:天然のメラトニンが豊富
- ピスタチオ:ナッツ類の中でもメラトニン含有量が多い
ただし、「含有=すぐに熟睡」というわけではありません。食品は睡眠リズム全体をサポートする役割として考えるのが現実的です(*2)。
メラトニン生成をサポートする栄養素
- トリプトファン:メラトニンを作る材料。アミノ酸の一種。
- ビタミンB群:メラトニン生成の代謝をサポート。疲労回復効果。
- マグネシウム:メラトニン生成の代謝をサポート。リラックス効果や神経・筋肉のバランス調整に関与。
これらの栄養素を日中にバランスよく摂取し、夜は消化に負担をかけない量で調整するのがポイントです。バナナはこれらの成分がバランスよく含まれているため特にオススメです。
まとめ:今日から始める質の良い睡眠への第一歩
朝は自然光で体内時計をリセットし、夜は光を弱めて眠る準備を整える。この基本的な光のリズムを意識するだけで、メラトニンの分泌パターンは改善されます。
年齢とともにメラトニンの分泌は減少しますが、小さな生活習慣の積み重ねで、自然な睡眠リズムは取り戻すことができます。
良質な睡眠は、日中のパフォーマンス向上や健康維持にも直結します。メラトニンと上手に付き合って、毎日を元気に過ごしませんか?
引用文献
(*1)Grivas, T. B., & Savvidou, O. D. (2007). Melatonin the “light of night” in human biology and adolescent idiopathic scoliosis. Scoliosis, 2, 6. https://doi.org/10.1186/1748-7161-2-6
(*2)Meng, X., Li, Y., Li, S., Zhou, Y., Gan, R. Y., Xu, D. P., & Li, H. B. (2017). Dietary Sources and Bioactivities of Melatonin. Nutrients, 9(4), 367. https://doi.org/10.3390/nu9040367