「肌荒れや乾燥が気になる」「アンチエイジングしたい」——そんな美容の悩みに対して、化粧品だけでなく“食べるケア”が注目されています。なかでも麹を使った発酵食品は、肌や髪に嬉しい栄養素がたっぷり。腸と肌が密接につながっているといわれる今、麹調味料の美容効果をチェックしてみましょう。 

腸と肌をつなぐ「腸-皮膚相関(ガットスキンアクシス)」 

最近の研究で注目されているのが「腸-皮膚相関」という考え方です。腸内環境が乱れると、肌荒れや乾燥、ニキビなどの肌トラブルが起こりやすいとされています。腸が健康だと免疫バランスや栄養吸収が整い、その結果、肌も健やかになるという仕組みです。(*1) 

麹調味料は腸内環境を改善する可能性があるため、間接的に肌の調子もサポートしてくれると考えられます。 

麹に含まれる美容成分

麹には以下のような美容成分が含まれており、美肌や美容に良い影響を与えるとされています。 

グルコシルセラミド
麹菌や発酵過程で生成される糖脂質の一種で、肌のバリア機能や保湿に関与する可能性があります。摂取すると、肌の水分量を増やし乾燥を防ぐ効果が期待されています。(*2) 

アミノ酸やビタミンB群
味噌や甘酒など、麹発酵によってビタミンB群やアミノ酸が増え、肌細胞のターンオーバーをサポートします。

酵素(アミラーゼ、プロテアーゼなど)
食品の消化・吸収を促進し、腸内環境を整え、肌トラブルの改善にもつながります。 

抗酸化物質
味噌や醤油に含まれるメラノイジンなどの成分は抗酸化作用を持ち、肌のエイジングを緩やかにする可能性があります。  

麹調味料を使った美容レシピの例

麹は塩麹や醤油麹、甘酒から手軽に摂取することが出来ます。 

塩麹の漬け込み鶏肉
材料:鶏胸肉、塩麹、大葉(または好みのハーブ)
作り方:鶏胸肉に塩麹をまぶして1時間以上冷蔵庫で漬け込み、フライパンやグリルで焼くだけ。  
ポイント:麹の酵素が鶏肉を柔らかくし、同時に旨味が増すため、たんぱく質補給と発酵パワーで内側から肌づくりをサポート。 

甘酒とヨーグルトのドリンク】
材料:甘酒(米麹由来)、プレーンヨーグルト、好みのフルーツ
作り方:甘酒とヨーグルトを1:1の割合で混ぜ、細かく刻んだフルーツを加える。ミキサーでスムージー状にしてもOK。
ポイント:甘酒で麹の美容成分を、ヨーグルトでプロバイオティクスを一緒に摂取し、腸内環境を強力にサポート。 

これらのレシピだけでなく、シンプルに塩麹はサラダにかけてたべたり、醤油麹は冷奴にかける醤油を置き換えるようにして使うだけでも、発酵食品の力を手軽に取り入れながら食卓を豊かに彩ることができます。 

注意点と継続のコツ

麹調味料がいくら美容や健康に期待できるといっても塩分や糖分が含まれているため、摂りすぎには注意が必要です。たとえば甘酒はノンアルコールでも糖分が多いため、飲みすぎないようにしましょう。 

また一度に大量摂取するよりも、少量を毎日続けることが腸内や肌にとって望ましい影響をもたらしますので習慣化を心がけましょう。 

美容には腸内環境だけでなく、睡眠やストレス状態も大きく影響します。麹調味料に頼るだけでなく、規則正しい生活リズムやメンタルケアも心がけましょう。 

まとめ

麹調味料には、腸内環境を整える力や、肌の水分保持、アンチエイジングに役立つ成分が含まれています。塩麹や甘酒をはじめとしたメニューは、毎日の食卓に取り入れやすく、美容ケアを無理なく継続できる点が大きな魅力です。肌や髪のお悩みが尽きない方は、化粧品だけに頼らず、麹のチカラを借りた内側からのアプローチを試してみることをおすすめします。食事を工夫することで、体も肌も喜ぶ美しさが実感できるでしょう。 

引用文献

*1: Wiertsema, S. P. et al. (2021). The interplay between the gut microbiome and the immune system in the context of infectious diseases throughout life and the role of nutrition in optimizing treatment strategies. Nutrients, 13(3), 886. 

*2: Yamaguchi, Y. et al. (2024). Efficacy and safety of oral administration of wine lees extract-derived ceramides in enhancing skin barrier function: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. Nutrients, 16(13), 2100.