毎日何気なく歩いているけれど、足の裏で何が起こっているか考えたことはありますか?
実は足には3つのアーチがあり、それぞれが異なる役割を分担しながら、私たちの歩行を支えてくれています。この仕組みを理解することで、足の疲れやすさや歩きにくさの原因が見えてくることもあるのです。
足の3つのアーチ、それぞれの大切な役割

足の3つのアーチには、それぞれ重要な役割があります。
「内側縦アーチ」は土踏まずと呼ばれる部分で、動きやすさを担当。歩く時の衝撃を吸収してくれるクッションのような働きをします。
「外側縦アーチ」は安定性を担い、体重をしっかりと支える要となります。
「横アーチ」は足の前部分の幅方向の張りを保ち、地面を蹴り出す時の力の伝達を助けます。
ここで重要なのは、アーチは「持ち上げれば良い」というものではないということ。アーチは動きながら働く構造なので、過度に固定すると、かえって足の動きやすさが損なわれてしまいます。
今すぐできるアーチ構造の再現実験

みなさんの手を使って試してみて欲しいことがあります。
①手のひらを机に密着させたまま、指を内側に曲げる。
②手のひらを卵1個分ほど浮かせる空間を作り、指先だけ机につけて内側に曲げる。
多くの人が、②のほうが強く机を「掴める」はずです。同時に手首が安定する感覚も得やすいはずです。これは、適切に形成されたアーチが指の機能と基部の安定を両立させることの再現例です。
これが本来あるべき足の機能になります。
「支えすぎない」が快適さの秘密

従来のアーチサポート製品を使って、こんな経験はありませんか?初めの頃はクッション性が合って楽に感じたけど、次第に効果を実感しにくくなった。確かに足は安定するけれど、足指が動かしにくい。
これは、過度にアーチ機能を支えすぎてしまっていることが原因です。
そこで注目されているのが、キュボイドサポートインソールです。これは、かかとの前方にある小さな骨である「立方骨(キュボイド)」を重点的に支える設計の機能性インソールです。
一般的なインソールといえば、土踏まず(内側縦アーチ)を下から持ち上げる構造のものがほとんど。でも、キュボイドサポートインソールは全く違うアプローチを取ります。立方骨を支点としてサポートすることで、足本来の動きを妨げにくく、足裏アーチの形成・維持を助けてくれるのです(*1)。
使う時は焦らず、段階的に

インソールを実際に使用する際は、まず靴との相性を確認し、立った時と歩いた時の両方でフィット感をチェックしましょう。
導入は焦らず段階的に。最初の1〜2週間は使用時間を徐々に増やし、違和感が強い場合は無理をせず休息を。足指の簡単な運動と組み合わせると、アーチが「動きながら働く」感覚をつかみやすくなります。
まとめ
足の3つのアーチは「動いて働く」構造です。必要な部分をサポートしながら足指の自由度を確保するインソールは、アーチの機能を最大限に引き出す設計思想と言えます。
大切なのは完璧を求めすぎないこと。毎日の歩行で少しずつ「歩く質」を高めていく。そんな気持ちで、無理なく快適な一歩へとつなげていきましょう。
足は私たちの体を支える大切な土台。その土台を丁寧にケアすることで、毎日がより快適になるはずです。
引用文献
(*1) Sakthivel, S., Maria Francis, Y., G, S. N., K V, S. D., & Dhakshnamoorthy, N. (2024). Anthropometric Analysis of Cuboid Bones in a South Indian Population. Cureus, 16(1), e51622. https://doi.org/10.7759/cureus.51622