妊娠中は普段以上に栄養バランスを意識したいものの、つわりなどで食事が思うように進まないことがあります。そんなとき、手軽に取り入れられる「米麹甘酒」が注目されています。ノンアルコールで妊婦さんでも安心して飲め、豊富な栄養が含まれていることから、母子ともに嬉しいサポートドリンクとして期待されています。
妊娠中に米麹甘酒を取り入れるメリット

妊娠中は胎児の発育を支えるため、普段より多くの栄養素を摂る必要があります。しかし、食欲不振やつわりで食事量が十分に確保できず、特定のビタミンやミネラルが不足しがちです。ここで役立つのが「米麹甘酒」です。
- ノンアルコールで安心
麹由来の甘酒はアルコール分が含まれず、妊婦さんでも安心して楽しめます。 - 消化吸収が良い
発酵による酵素の働きでデンプンがブドウ糖に分解されているため、体内でのエネルギー変換がスムーズ。つわりの時期に負担を感じやすい胃腸にも優しいとされています。 - 自然な甘み
砂糖ではなく米の甘みを利用するため、甘さが穏やか。満足感を得やすい反面、糖質は含まれるため過剰摂取は避けつつ上手に活用することがポイントです。
豊富なビタミンB群の補給源として

妊娠を計画する女性にとって、葉酸(ビタミンB9)の十分な摂取は欠かせません。胎児の神経管閉鎖障害リスクを低減するため、葉酸の摂取が日本でも推奨されています (*1)。
米麹甘酒には葉酸はもちろん、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシンなどの豊富なビタミンB群が含まれます。これらはエネルギー代謝や皮膚・粘膜の健康維持に役立つため、妊娠中の栄養不足を補ううえでも嬉しいポイントです。
妊娠中の方が甘酒を飲む時の注意点

甘酒は製造方法によって以下の2種類に分けられます。
- 米麹甘酒
主な原材料:米、米麹
アルコール度数:0%(ノンアルコール)
甘味の源:米のでんぷんが糖化したブドウ糖 - 酒粕甘酒
主な原材料:酒粕、砂糖
アルコール度数:約1%以下
甘味の源:添加された砂糖
妊娠期の甘酒摂取では、必ず米麹甘酒を選び、原材料表示で「酒粕」が含まれていないことを確認することが最重要です。正しい選択により、アルコールの心配なく甘酒の豊富な栄養を安全に摂取できます。
飲みやすいアレンジと注意点

米麹甘酒はほんのりとした甘みとやわらかな口当たりが魅力です。例えば以下のような工夫で、さらに飲みやすくなります。
- 温めて生姜をプラス
寒い時期は温めた甘酒にすりおろし生姜を加えると、体がぽかぽかと温まり、気分もリフレッシュできます。つわり緩和を感じる方も。 - 冷やしてフルーツとブレンド
暑い日は冷やした甘酒を好みのフルーツやヨーグルトと混ぜ、スムージー風にアレンジ。程よい酸味と甘みが心地よく、食欲のない時にも取り入れやすいでしょう。
一方、甘酒には糖分が含まれるため、カロリーオーバーや血糖値の急上昇には注意が必要です。他の食事バランスとの兼ね合いを考えて取り入れることがおすすめです。 また、妊娠中の体調やアレルギーなど個人差があるため、不安があれば医師や管理栄養士に相談しましょう。
まとめ
米麹甘酒はノンアルコールで妊婦さんでも安心して楽しめる上、葉酸やビタミンB群などの栄養を手軽に補給できる魅力的な発酵飲料です。つわりで食欲が落ちてしまう時期でも消化吸収の良い糖質源として活躍するほか、アレンジ次第で暑い日にも寒い日にも飲みやすいのも嬉しい点です。
妊娠中の栄養補助として、ぜひ米麹甘酒を一度試してみてはいかがでしょうか。お母さんの体調管理がスムーズになることは、赤ちゃんの健やかな発育にもつながります。とはいえ、甘酒だけに頼りすぎず、普段の食事や必要なサプリメントもバランスよく取り入れながら、無理のないマタニティライフを送ってください。
引用文献
*1:厚生労働省. (2023). 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針.
*2: 倉橋敦, 小黒芳史. (2017). 麹甘酒に含まれる成分について. 日本醸造協会誌, 112(10), 668-674. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/112/10/112_668/_pdf
*3: Kurahashi, A. (2021). Ingredients, functionality, and safety of the Japanese traditional sweet drink amazake. Journal of Fungi, 7(6), 469. https://www.mdpi.com/2309-608X/7/6/469